SECとCFTCの委員空席拡大は、暗号資産規制が新規立法より当局の解釈や規則運用に左右されやすい現状を映す。画像=Reve AI

米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)で委員の欠員が広がり、暗号資産規制を担う両当局の意思決定体制が大きく縮小する見通しとなった。今週末以降、両機関に残る委員は計3人にとどまる可能性がある。

ブロックチェーン関連メディアのCointelegraphが29日(現地時間)に報じたところによると、SECのヘスター・ピアース委員が27日に退任し、SECとCFTCの委員ポストの空席は計7枠に増える。

ピアース氏はSECで8年間委員を務め、暗号資産に前向きな姿勢から業界内で「クリプト・マム」とも呼ばれてきた。今回の退任は、2期目の延長任期18カ月の満了を約2カ月前倒しする形となる。

同氏の退任後、SECに残るのはポール・アトキンス委員長とマーク・ウエダ委員の2人だけとなる。5人で構成されるSECが2人体制で運営されるのは、米国史上2度目だという。

一方、CFTCの人員状況はさらに厳しい。2025年12月にキャロライン・ファム前代行委員長が退任した後は、マイケル・セリグ委員だけが唯一の委員として残っている。これにより、暗号資産の監督と執行を担う両当局の委員は、SECの2人とCFTCの1人にまで縮小する。

Cointelegraphは、SECとCFTCを時価総額3兆ドル(約450兆円)規模の暗号資産市場の一部を監督する中核当局と位置付けている。

空席補充の権限は連邦法に基づき、ドナルド・トランプ米大統領が握る。ただ、ホワイトハウスは現時点でSEC、CFTC向けの追加人事を公表していない。

ホワイトハウス関係者は、両機関の委員を近く指名する意向を示しているものの、具体的な候補者名は明らかにしていない。CNBCは9月4日、ホワイトハウスがCFTCの空席補充に向けて4人の候補を検討していると報じたが、氏名は伝えていない。

こうした状況を巡っては、超党派を前提に設計された規制当局の仕組みが弱体化しているとの批判も出ている。上院民主党は6月、トランプ大統領とジョン・スーン上院院内総務宛ての書簡で、議会は理事会や委員会を超党派で構成する仕組みとし、米国社会の中核分野を規制する権限を与えてきたと指摘した。

そのうえで、トランプ政権は議会と誠実に協力する姿勢に乏しく、これらの機関に対する全面的な統制を維持しようとしているように見えると批判した。

もっとも、指導部の欠員が続く中でも暗号資産規制そのものは進んでいる。議会で新たな法律制定が進まないなか、SECとCFTCは規則策定や既存法の解釈を通じて、監督権限の線引きを進めているためだ。

今月初めには、業界がデジタル資産市場明確化法に当たるClarify法案の成立に期待を寄せたが、同法案は共和党が掌握する上院で否決された。

同法案には、現在SECが担う一部の暗号資産規制権限をCFTCに移す内容が盛り込まれていた。法案の頓挫を受け、両機関はそれぞれ異なるアプローチで連邦法の適用範囲の整理を進めている。

SECは投資契約に関する職員向け指針を示し、CFTCは企業によるブロックチェーンを用いた記録管理の活用方法を具体化した。

今後の焦点は、ホワイトハウスが欠員をどこまで早く埋められるかに加え、議会立法が停滞するなかでSECとCFTCの解釈や指針が暗号資産市場の事実上の基準として定着するかどうかにある。

委員の補充が遅れれば、米国の暗号資産規制は当面、少数委員体制のまま、各機関の解釈運用に大きく左右される可能性が高い。

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