人工知能(AI)がコーディングや分析といった実行業務を急速に担うなか、人間の役割は「何をするか」を決め、優先順位を定める方向へ移りつつある。OpenAIの内部資料からは、AI時代には実務の遂行力以上に、判断と意思決定の力が重要になる可能性が浮かび上がった。
Business Insiderは9月26日、OpenAIが最近公開した社内研究組織のAI活用資料をもとに、研究現場でAIエージェントの利用が急拡大している一方、上位の意思決定は引き続き人間が担っていると報じた。
OpenAIによると、今年に入り研究部門でAIエージェントの活用が大きく伸びたのは、研究やインフラ関連のコード作成、技術サポート、実験の進行監視、結果分析などの分野だった。
コード作成やバグ修正のように、目標と成果を比較的明確に測定できる作業では、自動化が急速に進んでいる。8月中旬時点では、研究組織全体でみて、人間1人の1日当たり労働時間を基準にしたAIエージェントの作業量が3.1人日相当に達した。
一方で、何を研究するか、どのプロジェクトを継続するか、資源をどこに振り向けるかといった上位の計画・判断業務におけるAIの関与は、なお限定的だという。
OpenAIは「研究の優先順位を決め、どのアイデアや成果を追求するかを判断し、システムを拡張するか、中断するか、配備するかを決める役割は人間が担っている」と説明した。
AIが複雑な業務まで処理するケースが増える一方、人の関与は依然として欠かせない。OpenAIの分析では、人間なら4〜8時間かかると見積もられた作業をAIが完遂した事例のうち、過半で少なくとも1回は人間の介入があった。
Business Insiderは、こうした傾向について、AI時代には仕事で評価される力が、単に成果物を作る実行力から、何をすべきかを見極め、文脈やリスク、トレードオフを踏まえて意思決定する能力へとシフトする可能性を示していると分析した。