ベネズエラで暗号資産の取引・利用が急拡大している。経済不安や政治的混乱が続く中、ドル連動ステーブルコインが価値の退避先や送金・決済手段として使われ、中南米の主要市場で最も高い成長率を記録した。
CryptoPolitanがChainalysisのデータを基に報じたところによると、6月30日までの1年間におけるベネズエラの暗号資産の取引・利用規模は391億ドル(約5兆9000億円)となり、前年同期比107.2%増だった。中南米の主要5市場で最大の伸び率となる。同期間の伸び率は、メキシコが25.5%、アルゼンチンが15.3%、コロンビアが13.8%だった。
市場規模では、ブラジルが2525億ドル(約37兆9000億円)で最大だった。以下、アルゼンチンが885億ドル(約13兆3000億円)、メキシコが776億ドル(約11兆6000億円)、ベネズエラが391億ドル、コロンビアが291億ドル(約4兆4000億円)と続いた。中南米全体の暗号資産の取引・利用規模は5938億ドル(約89兆1000億円)で、前年同期比9.8%増。地域別では世界6位だった。ブラジルはChainalysisの「2026年グローバル暗号資産採用指数」でも首位となった。
ベネズエラの伸びは、1月の政治的混乱後にさらに鮮明になった。米軍は1月3日、当時の大統領ニコラス・マドゥロを拘束して米国へ移送。これを受け、国内ではボリバルに代えてドル連動の暗号資産を求める動きが強まった。Chainalysisによれば、マドゥロ拘束後の第1四半期にベネズエラから流出した暗号資産の規模は、直前四半期比で891.7%増加した。
個人間(P2P)でのステーブルコイン利用も急増した。2月初めには、中南米の上位3市場を約65ポイント上回る水準まで跳ね上がったが、3月には地域平均並みの動きに戻った。
もっとも、こうした政治的事件だけで年間を通じた増加傾向のすべてを説明するのは難しい。Chainalysisは「ベネズエラでは暗号資産が長年にわたり、通貨価値の下落に対する防衛手段であり、送金や外貨へのアクセス手段として利用されてきた」と分析している。