欧州で軽油価格の上昇が家計と物流の双方を圧迫している。中東紛争と石油製品の供給混乱を背景に、欧州の追加燃料費は日額2億300万ユーロに達するとの分析がまとまった。貨物輸送コストの上昇を通じ、物価を押し上げる懸念も出ている。
CleanTechnicaが22日(現地時間)に報じたところによると、欧州運輸環境連盟(T&E)の報告書では、この金額を紛争開始後の軽油価格上昇に伴う日平均の追加負担と試算した。ガソリンを含む道路輸送部門全体の追加燃料費は、日額2億7000万ユーロに上るという。
T&Eは、EU域内を走る乗用車の38%がディーゼル車で、燃料価格高騰の影響を受けやすいと分析した。14日時点では、ディーゼル車に50リットル給油した場合の追加負担は30ユーロに達すると見積もっている。
貨物輸送への影響も大きい。ドイツでは、トラック1台当たりの燃料費負担が紛争以降、週平均236ユーロ増えた。トラック燃料費の上昇は輸送費の押し上げ要因となり、商品価格にも波及する可能性がある。
一方で、石油製品価格の上昇は石油大手の収益拡大につながった。T&Eは、2026年上半期にEUで大手石油企業8社が得た超過利益を75億ユーロと推計した。
T&Eは短期対策として、高速道路の制限速度を時速10キロ引き下げるほか、エコドライブやカーシェアリングの拡大により、軽油需要を約15%削減できると提案した。長期的には、電気自動車への転換と老朽ディーゼル車の廃車支援が必要だとしている。
報告書では、欧州のディーゼル車の30%が車齢15年超である点にも言及した。現在の追加燃料費負担がクリスマスまで続けば、その総額は対象車両全体に1台当たり2000ユーロの廃車補助金を支給できる規模に匹敵するとの試算も示した。
そのうえでT&Eは、一律の燃料税引き下げではなく、低所得ドライバーへの支援を優先すべきだと主張した。あわせて、石油企業の超過利益に課税し、電動化の財源に充てるべきだと提言している。