フィリピンが、ノルウェーの先行事例を参考に、自国の水路事情に合った電動・ハイブリッドフェリーの導入検討を進めている。対象は船舶本体にとどまらず、充電設備や電力供給、運航計画まで含めて一体で設計する方針だ。
CleanTechnicaが22日付で報じたところによると、フィリピン運輸省や海事産業庁、海運業界の関係者はこのほど、4日間にわたりノルウェーを訪問し、電動フェリーの運航現場や充電設備を視察した。視察は在フィリピン・ノルウェー大使館が、Innovation NorwayおよびMaritime CleanTechと共同で実施した。
ノルウェーは2015年、世界初のフル電動カーフェリーとされる「MF Ampere」の運航を開始した。2022年には高速電動旅客船「MF Medstraum」も投入している。現在は100を超える航路で約180隻の電動フェリーが運航しているという。同じ航路を往復する定期フェリーは、ターミナルで充電しやすく、バッテリー活用との相性がよいとされる。
両国はすでに協力体制の構築も進めている。昨年11月に開かれた電動フェリーに関する会議では、フィリピン沿岸・内陸水路フェリー協会、IMP造船所、ノルウェーのZEMが、フィリピンの運航環境に合わせた電動・ハイブリッドフェリーの試作船を共同開発することで合意した。
フィリピンではすでに、国産の電動フェリー「M/B Dalaray」がパシグ川で運航している。全長13メートルのアルミ製双胴船で、旅客40人と乗組員3人が乗船可能だ。160kWhのバッテリーを搭載する。開発関係者によると、電力コストは1キロメートル当たり約45ペソで、比較対象となるディーゼルフェリーの燃料費である130〜135ペソを下回る。ただし、この比較には船舶の取得費や整備費は含まれておらず、総運航コストを示すものではない。
フィリピンは7641の島で構成され、旅客船は交通インフラとして重要な役割を担う。一方で、島しょ間の長距離航路や大型船をバッテリーのみで運航するのは容易ではない。ノルウェーの仕組みをそのまま移植するのではなく、自国の条件に合わせた導入モデルを構築できるかが焦点となる。ノルウェーの運用実績は、フィリピンの電動フェリー市場の立ち上げに向けた設計の参考事例になりそうだ。