中国の高速鉄道網拡大がEV普及を後押しした可能性が示された。画像はイメージ。

中国の高速鉄道網の拡大が、電気自動車(EV)の普及を後押しした可能性があることが分かった。長距離移動を高速鉄道で補完できる環境が整うことで、消費者の航続距離への不安が和らぎ、EVを選びやすくなったとみられる。

Gigazineが9月20日(現地時間)に報じたところによると、米ペンシルベニア大学や香港中文大学などの研究チームは、中国の高速鉄道網とEV販売の関係を分析した研究結果を公表した。論文は8月、国際学術誌「Journal of Public Economics」に掲載された。

研究チームが着目したのは、高速鉄道とEVの補完関係だ。長距離移動は鉄道でカバーし、日常利用では航続距離が比較的短いEVを使うという選択が広がれば、EV購入のハードルが下がる可能性があるとしている。

中国の高速鉄道網は2023年時点で総延長4万5000kmを超え、人口50万人以上の都市の96%を結んでいる。

分析では、2010〜2023年の中国328都市を対象に、新車と中古車の登録データを調査した。都市ごとに高速鉄道の接続時期が異なる点を活用し、開通前後のEV販売動向を比較したほか、地域経済や産業政策などの要因も調整した。

その結果、高速鉄道が接続した都市では、EV市場シェアが平均1.22ポイント上昇したと推計された。開通直後の押し上げ効果は約1ポイントだったが、時間の経過とともにその効果は拡大したという。

研究チームはさらに、高速鉄道網の拡充が、分析期間中における中国のEVシェア拡大分の最大3分の1を説明し得ると試算した。

消費者の購入傾向にも変化が見られた。高速鉄道の接続後に販売されたEVは、最大航続距離が短いモデルにシフトする傾向があり、平均取引価格も約6.37%低下した。

研究チームは、長距離移動を鉄道で補えるようになったことで、航続距離への不安が緩和された可能性があるとみている。充電インフラの整備が同時に進んだ都市では、EV普及への効果がより大きく表れたという。

今回の結果は、EV普及を進めるうえで、車両補助金や充電ステーション整備だけでなく、鉄道など代替交通手段へのアクセスも重要な要素になり得ることを示している。一方で、分析対象は2010〜2023年の中国の都市に限られており、同様の効果が他国でも確認できるかどうかは、今後の検証が必要としている。

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