Bochは、会議や会話を録音し、AIで文字起こしできるリング型ウェアラブル端末「Boch AI Ring」を発売した。連続8時間の録音に対応し、長時間の会話記録を想定した製品として投入する。
米ITメディアTechCrunchが20日(現地時間)に報じた。会議メモ向けデバイスでは、ペンダント型やピン型、カード型が主流だが、Bochは指にはめるリング型を採用した点を差別化要素に据える。
操作は本体ボタンで行う。ボタンを2回押すと録音を開始し、再び2回押すと終了する。録音中かどうかはインジケーターと振動で確認できる。ボタンの長押しでBoch AIに質問することも可能だが、この機能はアプリ起動中に限られる。
本体重量は6g未満。内側と外側の表面にはチタン素材を採用した。1回の充電で最大8時間の録音が可能で、付属の充電ケースを使えば最大3回の追加充電に対応する。
TechCrunchによると、実際の使用では長時間の会話記録で強みを見せた。騒がしいカフェで1時間超に及んだ会話でも、大半の内容を正確に文字起こしできたという。一方、短いメモを繰り返し残すような使い方では、効率面で課題が出る可能性もある。短時間の録音でも、AIが生成した要約や分析結果が元のメモより長くなるケースがあったためだ。
アプリの設計にも改善の余地があると指摘された。各録音データには、全文を確認できるチャット、録音中にボタン操作で保存するハイライト、会話の要点をまとめたノートが用意されている。
その一方で、アプリ内には文字起こしや録音ファイル、AI生成コンテンツをまとめた別の「Base」タブもあり、機能が重複しているとの見方がある。録音内容の文字起こしをもとに、そのままAIと対話を続ける機能も、現時点では搭載されていないという。
Bochは、Model Context Protocol(MCP)を通じて他のAIアシスタントサービスと連携できるとしている。ただ、この機能は比較的最近追加されたもので、機能拡充のペースは競合サービスより鈍いとの評価もある。他社の会議メモサービスがAIを活用して要点抽出や業務自動化の領域を広げる中、進化の余地が残るとの見方だ。
プライバシー面も課題として挙がる。リングは一般的なアクセサリーのように見えるため、周囲が録音機器だと気づきにくい可能性がある。録音を示すインジケーターは備えるものの、装着者側を向いているため、相手からは確認しづらいとの指摘もある。
Bochは、録音時には相手にその旨を伝えるよう利用者に求めている。国や地域によっては、会話の録音に際して相手への通知が法的に義務付けられる場合があるため、利用前に関連法規の確認が必要になる。
価格は249ドル。Plaudor Pocketなど他のAIメモ端末より高めだが、スマートフォンに装着したり、リストバンド型やペンダント型の機器を身につけたりせずに使える点を差別化材料として打ち出す。
AIを活用した議事録・メモ作成デバイスの形態が広がる中、Bochはリングという新たなフォームファクターを選んだ。長時間の会議や会話を手軽に記録できる点は魅力だが、アプリ機能の磨き込みやプライバシー面への配慮が、今後の競争力を左右しそうだ。