Micronは、約20年にわたって研究してきた次世代DRAM構造「4F²」について、当面は製品に採用しない方針を示した。製造プロセスの複雑化やコスト増、微細化の限界を踏まえ、既存の6F²ベースDRAMの改良を優先する。
米オンラインメディアのGIGAZINEが23日(現地時間)に報じた。方針は、Micronの社長兼最高技術・製品責任者(CTPO)を務めるスコット・デボア氏が21日の技術説明会で示したDRAM開発計画の中で明らかになった。
4F² DRAMは、6F²に比べてメモリセル面積を小さくできる構造として、次世代の高集積メモリ技術として注目されてきた。理論上は、同じプロセス条件でもセル面積を約33%縮小でき、同一面積当たりのセル数を増やせるとされている。
一方、Micronは長年の研究と試作を通じて、量産面でのメリットは想定ほど大きくないと判断した。デボア氏は、4F² DRAMがMicron独自の発想に基づく技術であり、継続的に評価を続けてきたと説明。その上で、工程が一段と複雑になり、製造コストも膨らむため、製品化は見送る方針だと述べた。
同社が重視するのは、セル面積の縮小だけではDRAM全体の記憶密度向上に直結しない点だ。4F²はトランジスタ面積の縮小に主眼を置く一方、実際のDRAM密度はデータ保持を担うキャパシタのサイズや配置間隔に大きく左右されるという。
デボア氏は、4F²と6F²の差がそのまま記憶密度の改善につながるとの見方には誤解があると指摘した。回路設計はキャパシタの配置間隔に合わせて最適化する必要があり、工程の複雑さやコストも含めて総合的に判断すべきだとしている。
微細化の持続性も課題に挙げた。Micronは数世代前のプロセス水準であれば4F² DRAMの製造は可能とみていたが、最先端ノードでさらに微細化が進むほど、物理的な制約が大きくなると説明した。こうした制約を踏まえ、同氏は4F²が長期的な解決策にはなりにくいとの認識を示した。
このためMicronは、4F²への移行ではなく、6F²ベースDRAMの微細化を継続する戦略を採る。開発中の1δ世代は2027年後半の量産開始を計画しており、前世代比で記憶密度を20%台半ば引き上げることを目標に掲げた。
さらに次世代では、ウエハー接合技術や高開口数(High-NA)EUV露光、新材料の活用によって、平面方向での微細化を続ける方針だ。
長期的な代替技術としては、3D DRAMを位置付けた。3D DRAMはメモリセルを垂直方向に積層し、平面微細化への依存を下げる方式だ。デボア氏は、4F²の根本的な限界を踏まえると、最終的には3D DRAMへの移行が必要になるとの考えを示したが、商用化の時期には言及しなかった。
Micronは今後、製造コスト、工程の複雑さ、性能を総合的に見極めながら、導入時期を判断する考えだ。
次世代DRAMを巡っては、競合各社の動きも焦点となる。報道によれば、Samsung ElectronicsとSK hynixは、今後の技術開発計画に引き続き4F² DRAMを盛り込んでいるという。
Micronは4F²の技術的な実現可能性そのものは否定していない。ただ、事業性を総合的に見た場合、現時点では既存の6F²改良と将来の3D DRAMへの移行を優先する判断を下した。