Anthropicの中核を担うプラットフォームエンジニアリング組織で、コード生成の大半を同社のAI「Claude」が担っていることが分かった。人は設計と検証を担当し、実装はAIに委ねる体制を敷いている。一部では、AIエージェントが人の介在なしに修正を行う運用も始まっている。Business Insiderが22日(現地時間)に報じた。
この方針を明らかにしたのは、Anthropicでプラットフォームエンジニアリンググループを率いるケイトリン・レセ氏だ。同氏によると、チームが社内システムの構築・運用で扱うコードは、実質的にすべてClaudeで生成しているという。
同グループは、中核サービスや開発者ツール、製品インフラを担う組織だ。AIコーディングツールを補助的に使うのではなく、開発体制の中心に据えている実態が浮き彫りになった。
レセ氏はイベントで、「私たちのチームが実際にシステムを構築し、維持するやり方で言えば、すべてのコードをClaudeが書いている。文字通り全部だ」と述べた。今夏時点で、同組織の規模は約200人だという。
もっとも、人が開発プロセスから外れたわけではない。設計と検証は引き続き従業員が担い、実装をClaudeに任せる形だ。レセ氏は、主要コードベースのプログラミング言語をPythonからRustへ移行する過程でも、従業員が最終成果物を検証する仕組みを設計したと説明した。
同氏によれば、現場では単純な実装や運用確認の大部分が、すでにエージェント主導で進んでいるという。細かな部品の作成や監視、結果を確認するまでの煩雑な作業は、エージェントが担ったとした。
Anthropicはさらに踏み込む構えだ。レセ氏は、現在は一部のテスト修正をエージェントが人の介在なしに自律処理していると説明。過去1年間のAIモデルの性能向上を踏まえ、将来的にはコードベースの変更まで自律的に任せることも検討していると明らかにした。そのうえで、「エンジニアリングリーダーとしては恐さもあり、極めて慎重であるべきだと思う」としつつ、「その境界線は徐々に広がっている」と語った。
こうした流れは、特定チームに限った話ではない。Anthropicは先週公表した報告書で、社内でのAIエージェント活用の拡大に伴い、ジュニア層の技術職の採用比率が低下していると説明した。さらに今年5月には、当時の時点で全社の本番環境向けコードの80%超をClaudeが生成していると公表している。
この動きは、同社の規模戦略とも連動している。AnthropicはClaudeを活用したコード生成により、比較的小規模な人員体制を維持してきた。報道によると、同社は新規株式公開を控えており、企業価値は2兆ドル近くに達する可能性がある。一方で、今年第3四半期の売上成長は鈍化しているという。
Anthropicがこうした社内事例をもとに、企業顧客に対してどこまで「AI優先」の開発手法を広げていくのかが今後の焦点になりそうだ。インフラを担う組織で人のコーディング比率が事実上消えたことは、AIコーディングツールの競争が生産性向上の補助を超え、開発組織の運営そのものを変える段階に入ったことを示している。