写真=Shutterstock

人工知能(AI)モデルの学習や推論に必要なGPUを集中的に提供する「ネオクラウド」事業者が急速に存在感を高めている。一方で、設備投資負担の大きさや債務依存の強さが重荷となっており、需要拡大がそのまま収益力の向上につながるとは限らない状況だ。

Decryptが22日に報じたところによると、Gartnerは14日、コスト圧力の強まりと差別化された事業モデルの不足を理由に、2030年までにネオクラウド事業者の80%超が独立した事業運営を維持できなくなる可能性があると予測した。

ネオクラウドは、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloudのような総合型のハイパースケーラーとは異なり、大規模なNVIDIA製GPUクラスターをAI企業向けに提供することに特化したインフラ事業者を指す。主な顧客はAI研究機関やスタートアップ、ビッグテック企業で、学習用・推論用の計算資源を長期契約や時間単位で確保する。

代表的な事業者には、NASDAQ上場のCoreWeaveとNebiusのほか、非上場のLambda、Crusoe、Fluidstack、ビットコイン採掘事業からAIインフラ事業へ転換したIRENなどがある。

CoreWeaveは2017年、GPUベースのイーサリアム採掘企業として創業した。イーサリアムが2022年にプルーフ・オブ・ステークへ移行した後は、保有していたハードウェアをAIおよびクラウド事業へ振り向けた。

この市場で競争力を左右するのは、GPUの調達力、電力の確保、そして資金力だ。ネオクラウド各社は高性能なNVIDIA製GPUを大量に押さえ、AI向けクラスターとして運用しなければならない。加えて、データセンター向けの電力や冷却設備の整備も不可欠となる。

GPUは高額なうえ、陳腐化も早い。このため、設備や長期顧客契約を裏付けに借り入れで資金を調達するケースが多く、財務負担が重くなりやすい構造にある。

実際、収益面では償却負担の重さが目立つ。CoreWeaveは2026年第2四半期の売上高が約26億ドルだったのに対し、減価償却費と無形資産償却費は約14億ドルに達した。Nebiusも売上高5億8200万ドルに対し、同費用は約2億6000万ドルを計上している。GPU確保競争で先行しても、収益性の確保は容易でないことを示している。

もっとも、需要そのものはなお強い。CoreWeaveの共同創業者ブレイニン・マクビー氏は、2027年分の供給枠は事実上すべて売約済みで、契約は2028年以降にまで及んでいると明らかにした。

ネオクラウド各社は、ハイパースケーラーよりも迅速に専用GPUクラスターを供給できる点を強みに掲げる。自社データセンターだけでは需要をさばききれない場合、ハイパースケーラー側が逆にネオクラウドの容量を借りるケースも出ているという。

暗号資産業界との結び付きも強い。ビットコイン採掘企業は、電力網への接続、用地、各種許認可をすでに確保していることを武器に、AIデータセンター事業へと事業領域を広げている。

Bernsteinの集計によると、2026年7月までの2年間で、採掘企業はハイパースケーラー、ネオクラウド、半導体企業との間で計19件、約7ギガワット規模の電力契約を結んだ。契約総額は1350億ドルを超える。ただ、これは採掘企業が計画する30ギガワットの電力パイプラインの4分の1にも満たない。

個別案件の大型化も進む。TeraWulfはケンタッキー州のキャンパスを巡り、Anthropicと20年の賃貸契約を締結した。想定収入は約190億ドルで、当時のTeraWulfの時価総額を上回る規模だった。

MicrosoftはIRENと約97億ドル規模の5年契約を結び、GPUクラウドを確保した。Amazon Web Servicesも、ビットコイン採掘企業を母体とするAIインフラ事業者Cipherと、約55億ドル規模の15年契約を締結している。

Googleは、TeraWulfとCipherが運営するサイトについて、Fluidstackの賃料支払いを保証している。

ただ、市場の見方は厳しさを増している。Gartnerは、現在の支出ペースが続けば、2030年末までに3兆5000億ドル超のAIインフラ投資が損失リスクにさらされる可能性があるとみている。

信用市場でも警戒感が強まっている。21日時点でCoreWeaveの無担保債利回りは約15%まで上昇し、債務不履行に備える債券保険のコストは1カ月で30%上がった。10月に入ってからの株価は、CoreWeaveが29%安、Nebiusが27%安、IRENが32%安となっている。

なお、ネオクラウドはブロックチェーン・プロジェクトやトークンベースのネットワークとは異なる。独自トークンを発行しない一般企業であり、株式は従来の証券市場で取引される。

一方、Render、Akash、io.netといった分散型物理インフラネットワークも、GPU計算市場を同じ方向で狙う存在として比較対象に挙がる。これらはトークンを使って計算資源の利用料を支払い、供給者に報酬を与える仕組みを採るが、企業保有のデータセンターではなくP2Pモデルを基盤としている点で構造が異なる。

結局の焦点は、需要の有無ではなく採算性にある。AI計算需要は高水準を保っているものの、ネオクラウド各社が独立企業として生き残るのか、それともより大きな事業者に取り込まれるのかはなお見通せない。Gartnerが指摘した「コスト圧力」と「差別化された事業モデルの欠如」を乗り越え、債務を賄えるだけのキャッシュを生み出せるかどうかが、今後の業界再編の分岐点となりそうだ。

キーワード

#ネオクラウド #GPU #AI #NVIDIA #CoreWeave #Nebius #Gartner #データセンター #ハイパースケーラー
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.