Teslaの大型蓄電システム「Megapack」が好調だ。イーロン・マスクCEOは、2027年引き渡し分がほぼ完売したと明らかにし、拡大する需要に対応するため生産能力の引き上げを急いでいる。
米Cryptopolitanが22日(現地時間)に報じたところによると、マスクCEOはMegapackの受注が想定を上回るペースで積み上がっていると説明した。背景には、人工知能(AI)向けデータセンターの増設に伴う電力需要の拡大がある。
国際エネルギー機関(IEA)は、世界のデータセンターの電力消費が2025年の485テラワット時(TWh)から2030年には950TWhへと、約2倍に増えると見込んでいる。こうした需要増が、大型蓄電設備の導入を後押ししている。
再生可能エネルギーの拡大も追い風だ。太陽光や風力は出力変動が大きく、電力の安定供給には蓄電池の併設が欠かせない。IEAによると、2025年の世界のバッテリー貯蔵設備の新規導入量は108ギガワット(GW)と、前年比40%増だった。
Teslaは供給体制の強化も進めている。第3四半期にはテキサス州のMegapack工場で生産を始めた。年産能力はテキサス工場が50ギガワット時(GWh)、カリフォルニア工場が40GWh、上海工場が20GWhとしている。ただ、実際の生産量は稼働率や部材調達、設備更新の状況などで変動する可能性がある。
米国内での電池調達体制も強化している。Teslaは、ネバダ工場で自社生産したリン酸鉄リチウム(LFP)セルのみを使った初のMegapackを出荷したと公表した。
バッテリー貯蔵システムのコスト競争力も高まっている。ウッド・マッケンジーは8日付の報告書で、調査対象43市場において、4時間放電型バッテリー貯蔵システムの供給コストが開放型ガスタービンを下回ったと指摘した。ガスタービンは供給制約や燃料価格の変動でコスト負担が膨らみやすい一方、バッテリーは量産効果で競争力を高めているという。
もっとも、市場競争は激しい。ウッド・マッケンジーが6月に公表した調査では、中国企業が2025年の世界のバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)市場の76%を占めた。Teslaは北米市場で首位を維持したが、需要拡大への対応と価格競争力の確保を両立できるかが問われる。
業績面では収益性の悪化が目立つ。第3四半期の売上高は280億4600万ドルと前年同期並みにとどまった一方、米国会計基準(GAAP)ベースの純利益は7億8700万ドルと43%減少した。営業費用は47億7600万ドルで39%増、営業利益は7億1800万ドルで56%減だった。研究開発費の増加や規制クレジット売上の減少が響いた。
今後の焦点は、積み上がったMegapackの受注を売上高と利益の拡大につなげられるかどうかだ。生産能力の増強と安定調達を進めながら、納期を守って供給し、収益性を確保できるかが注目される。