写真=General Motors

General Motors(GM)は21日、LG Energy Solutionと共同開発したリチウム・マンガン・リッチ(LMR)電池と第4世代EVプラットフォームを柱とする次世代EV戦略を発表した。電池の高エネルギー密度化に加え、車両設計や生産工程にAIを取り入れ、コスト抑制と開発期間の短縮を同時に進める。新型車の開発期間は従来の5年から2年へ縮める方針だ。

CleanTechnicaによると、GMは米ニューヨークで開いたイベントで、LMR電池や第4世代EVプラットフォームなどの次世代技術を公表した。電池の材料設計から車両の電装・ソフトウェア構成、製造工程に至るまで、EV開発全体を見直す。

LMR電池は「Lithium Manganese Rich」の略称。GMによれば、リン酸鉄リチウム(LFP)電池と比べてエネルギー密度は33%高い。同程度のコストで、より小型・軽量の電池パックを実現し、航続距離の延伸につなげる考えだ。一方で、低温時の性能や充電速度などの詳細な指標は示していない。

マーク・ロイス社長は、LMR電池を主力セグメントに順次展開していく考えを示した。量販EVでも、電池技術の刷新によってコスト、航続距離、性能の改善を同時に狙う。あわせて、EV市場への取り組みを継続する姿勢も強調した。

電池開発では、AIを使ったコンピューターモデリングを活用した。GMのエンジニアは、物理試作に入る前に30万件超の電池設計を仮想環境で検証したという。同社は、LMR電池パックについて、初期のコンセプト検討から正式承認までの期間は1カ月だったと説明した。

次世代EVには第4世代プラットフォームを採用する。GMは小型・軽量の電動モーターを組み合わせ、製造コストを抑えながら車内空間を広げる計画だ。各駆動ユニットの部品点数は従来比で40%削減したとしている。

車両の電装・ソフトウェア構成も刷新する。GMは制御モジュール数を減らし、配線長を従来モデル比で30%短縮する中央コンピューティング構造を導入する予定だ。認識・駆動、能動安全、シャシー制御を単一の高速中央コンピューティングユニットに統合し、第4世代プラットフォームの処理速度を40%高めるとしている。

生産現場には、AIベースの生産システム「Plant Brain」を導入する。実際の組立ラインに設備を設置する前に、仮想環境で工程を検証し、設備配置や作業動線を確認できるようにする。安全性や作業性の課題を事前に把握し、工場データとコンピューターモデルを組み合わせて車両と電池パックの品質向上につなげる。GMは、この仕組みにより電池パックの完成時間を30%短縮したと明らかにした。

車両開発の進め方も見直す。GMはAIツールを活用し、従来は5年程度かかっていた開発期間を2年に短縮する目標を掲げた。スティアリング・アンダーソン最高製品責任者(CPO)は、段階的な開発手法から、大規模データと並行開発を前提とした運用体制へ移行していると説明した。設計、エンジニアリング、製造を密接に連動させ、開発期間を縮めながら製品競争力を高める考えだ。

自動運転や運転支援機能も、中央コンピューティング体系に統合する。GMは新開発の中央コンピューティングユニットをEVに限らず、同社が生産する全車種の自律機能に活用する計画という。セバスチャン・バウアー人間インタフェースデザイン責任者は、自律機能の拡大に伴って信頼性の重要性が高まるとして、車両がどのような判断を下すのかを利用者が理解できるよう、透明性を設計原則に据えると述べた。

今回の発表では、電池技術、車両プラットフォーム、AIを活用した開発・生産体制を一体で打ち出した点が焦点となる。LMR電池でコスト当たりのエネルギー密度を高める一方、部品点数や配線を減らして車両構造を簡素化し、仮想設計と工程最適化で開発・生産効率の向上を狙う。

一方、LMR電池の充電速度や低温性能、第4世代プラットフォームを採用する量産車の投入時期など、具体的な内容はなお明らかになっていない。開発期間の2年短縮や生産効率改善の効果が量産段階でどこまで実現するかが、今後の焦点となる。

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