Blockchain Associationは10月22日(現地時間)、米議会に対し、暗号資産税制の見直しを求める書簡を提出した。要望では、少額決済の非課税、ステーブルコインの扱いの明確化、採掘・ステーキング報酬への売却時課税などを打ち出した。
ブロックチェーン関連メディアのBitcoin Magazineによると、書簡は上下両院の指導部宛てに送付された。同協会は、暗号資産を保有または利用する米国人が6700万人に上る一方、現行税制は旧来の経済環境を前提に設計されており、納税者に不確実性と過度な負担をもたらしていると指摘した。
要望の柱は、少額取引の非課税措置、ドル連動ステーブルコインの現金同等の扱い、採掘・ステーキング報酬の売却時課税への見直しだ。あわせて、ブローカーに課される報告義務については、顧客資産を保管または管理する仲介事業者に対象を限定するよう求めた。
また、損失確定後の買い戻しによる税控除を制限するワシセール規定については、暗号資産への適用拡大を容認する一方、日常的な取引まで過度に規制すべきではないと主張した。
このほか、米国の取引所を利用する海外投資家向けのセーフハーバー、時価評価課税の選択制、ブロックチェーン開発に対する研究開発税額控除の適用も提案に盛り込んだ。ただ、今回の書簡では、議会で審議中の特定法案への支持は明示していない。
下院歳入委員会は先月、「デジタル資産税の確実性法案(H.R. 10357)」を可決した。同法案には、一定の条件下で10ドル(約1500円)以下のネットワーク手数料や取引手数料を暗号資産で支払う場合、損益認識を免除する規定が盛り込まれた。あわせて、ワシセール規定と擬制売買規定の適用対象を暗号資産にも広げる内容となっている。
一方で、一定の要件を満たすドル連動ステーブルコインは、ワシセール規定の適用対象から除外した。
ただし、業界が重視してきた採掘・ステーキング報酬に関する課税繰り延べ条項は、最終案から削除された。マイク・キャリー下院議員が後押ししていた関連条項は当初の議論案に含まれていたが、最終文案では採掘・ステーキング報酬を一般所得として扱い、受領時点で課税する整理に改められた。
上院では、スティーブ・デインズ議員が提出した「ADAPT法案」の議論が進んでいる。同法案は、ジーニアス法の適用を受けるドル連動ステーブルコイン決済について損益認識を免除し、10ドル(約1500円)以下の手数料に例外を設ける内容だ。
ワシセール規定の適用拡大も盛り込む一方、既存保有分には経過措置を設け、採掘・ステーキング報酬については例外扱いとする方向だ。これに先立ち、シンシア・ルミス議員が提出した法案には、1取引当たり300ドル(約4万5000円)、年間5000ドル(約75万円)を上限とする少額非課税条項が含まれていたが、依然として上院財務委員会にとどまっているという。
Blockchain Associationは、ADAPT法案を暗号資産税制の包括的な整備に向けた前進と評価した。ただ、会員企業が法案の詳細を精査しているとして、今後の立法プロセスでも協議を続ける姿勢を示した。
もっとも、立法環境は厳しい。議会は11月3日の中間選挙後まで休会に入っており、再開後も第119議会の会期は限られる。政府予算案など、ほかの重要案件の処理も控えている。
さらに、暗号資産税制改正を主導してきたルミス議員が2027年1月に退任する見通しであることも、不確定要素として意識されている。
業界が税制論議を後押しする背景には、クラリティ法案の審議停滞がある。同法案は2025年7月に下院を通過したが、上院ではステーブルコインの収益構造に加え、トランプ一族の暗号資産事業を巡る倫理条項をめぐって意見が割れた。
9月15日には、法案審議入りに必要な討論終結動議が賛成49票、反対50票で否決された。トム・ティリス議員は再審議動議を提出しており、手続き面ではなお再浮上の余地を残している。
議会での審議とは別に、規制当局による制度整備も続く。米通貨監督庁(OCC)は21日、ジーニアス法の施行に向けた最終規則を公表した。証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)も、規則策定と執行を通じて市場構造を巡る制度整備を進めている。
焦点は、限られた会期の中で、議会が暗号資産税制を巡る不確実性の解消まで踏み込めるかどうかにある。