Rippleの元最高技術責任者(CTO)デイビッド・シュワーツ氏が、XRP Ledger(XRPL)基盤のトレーディングカードゲーム「Fuzzy Cards」に言及し、関連プロジェクトへの関心が高まっている。ミームトークンとして始まった取り組みが、現物カードとブロックチェーンを組み合わせたWeb3プロジェクトへ広がっている点が注目されている。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、シュワーツ氏は10月22日(現地時間)、自宅のキッチンでFuzzy Cardsのブースターパックを開封する写真をX(旧Twitter)に投稿した。あわせて、贈り主とみられる関係者やプロジェクト公式アカウントに謝意を示した。
XRPエコシステムの中核人物による言及として、市場の関心を集めた格好だ。シュワーツ氏は5月、Fuzzy Cardsのネイティブトークン「FUZZY」のトラストラインも設定している。トラストラインは、XRPL上で特定トークンを保有・受け取りできるようにする設定を指す。
投稿の時期も重なった。Rippleの年次イベント「Ripple Swell 2026」を控える中、プロジェクトのコミュニティは関連イベント「FuzzyCon」の準備を進めている。
Fuzzy Cardsのルーツは、2014年にXRPLの分散型取引所に残った未成立注文にさかのぼる。当時、「FuzzyBear」ウォレットが1XRPと1BTCを交換する注文を出したが、約定には至らなかった。コミュニティはこの記録を記念し、2025年初めにミームトークンFUZZYを立ち上げた。2026年10月時点の保有者数は、1万1500人を超えるとされる。
その後、プロジェクトはトークンの枠を超え、現物商品の展開にも乗り出した。スイス・ツークの出版社XPUNKS GmbHが実物のトレーディングカードゲームを手がけ、カイ・ルロイ氏がプロジェクトを率いる。スターターシリーズは、ヒーロー、遺物、イベントの3種類で構成される全150種の固有カードを中心に、ゲーム内の5勢力を展開。このうち約60種はホログラム仕様という。
特徴は、デジタル資産と現物商品の受け渡しを結び付けた仕組みにある。ユーザーはXRPLのXLS-20規格に対応したNFTとしてデジタルパックを購入し、専用ポータルでそのNFTをバーン(焼却)すると、実物カードを受け取れる。バーンの記録がブロックチェーン上に残ると、ランダムカード5枚入りの密封ブースターパックが発送される。
現物カード市場との接点も用意した。ユーザーはカードについて、CGC、PCA、TAGといった専門鑑定会社のサービスを利用できる。ブロックチェーン上のデジタル商品を現物コレクションにつなぎ、既存の鑑定市場とも接続する狙いがある。
プロジェクト側によると、これまでにバーンされたブースターパックは約10万個に達した。カイ・ルロイ氏は、強気相場の中でも需要が生まれている点に注目。現物資産とデジタル技術を組み合わせたハイブリッド型のWeb3プロジェクトが、大きな市場の脚光を浴びないまま成長しているとの見方を示した。
一方で、開発面のハードルも小さくない。実物カードの制作には時間を要するうえ、カード間のバランス調整も複雑だという。プロジェクト側は、150種のカードだけでも数兆通りの組み合わせが可能だとして、短期間で競合が同等の競争力を備えるのは容易ではないと説明している。
もっとも、今後の成長を見極めるには、トークン市場と現物商品の需要を切り分けてみる必要がある。FUZZYはミームトークンの性格上、価格変動が大きく、XRP市場の値動きにも影響を受けやすい。オフラインのボードゲーム店を通じた小売流通プログラムも、手数料ベースで導入が始まった段階にある。
シュワーツ氏の言及や現物カードの流通拡大が、持続的な成長につながるかはなお見通せない。Fuzzy Cardsは、XRPLを通じてデジタル資産と現物の収集品を結び付ける事例として注目される一方、トークンの市場価値、ゲーム自体の競争力、流通網の拡大が中長期の成否を左右しそうだ。