金とビットコインのイメージ写真=Shutterstock

金を人工的に生み出す技術の進展を受け、希少性の観点からビットコインを見直す動きが出ている。市場では、技術革新によって供給が増え得る金に対し、発行上限が固定されたビットコインは供給構造が根本的に異なるとの見方が改めて注目を集めている。

ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、市場アナリストのジェシー・エケル氏は22日、人工的な金の生成技術が進めば金の希少性が揺らぐ可能性がある一方、ビットコインは供給量が厳格に制限されており、構造が異なるとX(旧Twitter)で指摘した。

きっかけとなったのは、米スタートアップMarathon Fusionの発表だ。同社は21日、水銀を金に変換する、いわゆる「高速錬金術」の実験に成功したと公表した。

同社は先月の実験でも水銀から金への変換に成功しており、欧州原子核研究機構(CERN)の記録を約10倍上回ったとしていた。

エケル氏は同日の投稿で、金の供給構造は技術変化の影響を受けやすいと指摘。「人工的な金の生成が可能になれば、いずれダイヤモンドのように価格が下がるかもしれない。一方で、実験室でビットコインが作られることはない」と述べた。

Marathon Fusionは現在、米サンフランシスコで高出力密度を目指す核融合炉の開発を進めている。2025年には、ギガワット級の核融合発電所で年間約5000キログラムの金を生産できる理論プロセスを提示していた。

この技術は、高エネルギー中性子を使って特定の水銀同位体を金に変換する核変換方式に基づくという。

もっとも、人工的な金の商業的な大量生産はなお初期段階にある。今回の実験発表だけで、低コストの人工金がすでに産業規模で生産可能になったことを意味するわけではない。

Marathon Fusionの最新発表も、現時点では技術実証の段階に近い。これを直ちに商業化や量産体制の確立とみなすのは難しい。

それでも、市場ではビットコインの「予測可能な希少性」に改めて関心が集まっている。金は採掘の拡大や新鉱床の発見、精製技術の向上によって総供給が増える可能性がある。核変換技術が実用化に近づけば、供給増加の経路はさらに広がることになる。

これに対し、ビットコインの最大供給量は約2100万枚に設定されている。発行はあらかじめ定められたスケジュールに沿って行われ、採掘報酬は約4年ごとに半減する仕組みだ。

現在の上限を超えて供給量を増やすには、ネットワークの合意ルールそのものを変更する必要がある。

今回の論点は、金とビットコインの価格水準を比較することではなく、供給構造の違いにある。金は物理資産としての価値を持つ一方、技術進展によって希少性が一部薄れる可能性が指摘されている。これに対し、ビットコインはネットワークルールによって供給上限が固定されている点で、異なる性質の資産として評価されている。

今後は、Marathon Fusionの実験が実際の商業生産につながるかどうかに加え、こうした議論がビットコインの長期的な希少性を巡る見方にどのような影響を与えるかが注目点となりそうだ。

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