Robinhood Marketsは、ドバイ金融サービス庁(DFSA)の承認を受け、中東で暗号資産や株式の取引、デジタル資産のカストディサービスを提供できる体制を整えた。2027年にはドバイ国際金融センター(DIFC)に拠点を設け、中東・北アフリカ(MENA)でサービスを始める計画だ。
Bitcoin Magazineなどが10月22日に報じた。対象となるのは、ビットコインのほか、その他の暗号資産、株式、上場投資信託(ETF)、投資トークンなど10の資産クラスで、個人投資家向けに売買サービスとカストディを提供する。取引の仲介にとどまらず、顧客のデジタル資産を自社で保管できる点も特徴となる。
同社はあわせて、サラ・カッドゥーラ氏(Salah Kaddoura)をRobinhood MENAの代表兼シニアエグゼクティブに起用した。DFSAが定める責任者ポストで、現地当局との対応に加え、サービス開始に向けたドバイ拠点の立ち上げを担う。
ブラス・テネフ会長兼CEOは、DIFCについて世界有数の金融ハブの一つだと評価したうえで、今回の進出により「誰もがどこからでも質の高い金融資産を保有できるグローバルプラットフォーム」の構築に一歩近づいたと述べた。
今回のドバイ進出は、Robinhoodの海外展開拡大策の一環とみられる。同社は2024年に英国へ進出し、2025年には欧州連合(EU)で本格的なサービス展開を始めた。2026年4月にはシンガポールでブローカレッジサービスの原則承認を取得し、6月にはカナダの暗号資産プラットフォームWonderFiの買収を完了。米国では9月に週末取引と無期限先物商品を追加した。同社によると、米国外の顧客数は100万人を超えたという。
ヨハン・ケルブラット氏(Johann Kerbrat)暗号資産・国際事業責任者は、ドバイ進出の背景として、中東で個人投資家層が拡大している点を挙げた。ケルブラット氏は10月7日、顧客資産ではなく自己資産として、ビットコイン2500万ドル相当を保有していることも明らかにしている。
DFSAが顧客のデジタル資産のカストディまで認めた点も注目される。Robinhoodは米国でビットコインの出金機能の提供までに数年を要したが、ドバイではサービス開始段階から顧客資産の直接保管が可能になる見通しだ。
Robinhoodが拠点を置くDIFCは、地域情勢の不透明感が残るなかでも成長を続けている。今年は登録企業数が1万社を超え、3月には60万平方フィート規模の新たな商業スペースが開業した。Bloombergによると、Deutsche BankやMoody'sなどが入居しているほか、自己勘定取引を手掛けるMavenも今週、ニューヨーク事務所を閉鎖し、事業の重心をドバイに移す方針を示した。
一方で、競争環境は厳しさを増しそうだ。DIFCには3月31日時点で認可ブローカレッジ72社が登録されている。加えて、ドバイの別の規制当局である仮想資産規制庁(VARA)の認可を受けた暗号資産取引所も事業を展開している。
Robinhoodは現時点で、サービス提供国や手数料体系、「適格投資家」の具体的な基準を公表していない。適格投資家の範囲次第では、実際に取り込める市場規模も変わる可能性がある。