General Motors(GM)は21日(現地時間)、AIの活用によって車両開発期間を従来の4〜5年から2年へ短縮する方針を明らかにした。あわせて、次世代EV向けバッテリー、車載電子アーキテクチャ、自動運転、車載サービスを一体で見直し、中国メーカーとの競争力強化を急ぐ。
米ITメディアThe Vergeによると、GMはニューヨークで開いた技術イベント「GM Forward」で、EV、AI、自動運転を柱とする中長期戦略を公表した。
中核となるのは、車両アーキテクチャの中央集約化とソフトウェア基盤の刷新だ。設計、エンジニアリング、製造を単一のデジタル基盤でつなぐ「デジタルスレッドの仮想化」を導入し、開発期間の半減を目指す。
GMは、試作前の段階で30万件超の仮想バッテリー設計を検証し、初期構想から開発プログラム承認までを1カ月で完了したと説明した。
次世代EVには、リチウムマンガンリッチ(LMR)バッテリーを採用する。GMによれば、LMRはリン酸鉄リチウム(LFP)に比べてエネルギー密度が33%高く、コストは同程度という。
新たなEVプラットフォームでは、エネルギー効率を20%高める一方、バッテリー容量を20%削減する設計を目指す。車両重量は15%低減し、空力性能は25%改善する。駆動装置と電力電子装置の部品点数を40%削減する計画だ。
バッテリーは、LG Energy Solutionとの合弁会社Ultium Cellsが、テネシー州スプリングヒル工場で生産する予定だ。
車載電子アーキテクチャも、分散型から集中型へ移行する。車両各所に配置している電子制御ユニットを中央コンピューティング装置(CCU)に統合し、演算性能を従来比40倍に高めるとともに、配線を30%削減する。
このアーキテクチャは、推進制御や車体制御に加え、認識機能や能動安全機能までを統合管理する。無線ソフトウェア更新(OTA)や高度な自動運転の基盤にもなる。中央コンピューティングプラットフォームは2028年にCadillac Escalade IQへ初採用し、その後はEVと内燃機関車へ展開を広げる見通しだ。
GMは同年、Escalade IQに対し、高速道路で前方監視やステアリング保持を不要とする走行機能を導入する計画も示した。将来的には、大型SUVやピックアップトラックにも適用を拡大する構想だ。
あわせて、自動運転によって車内空間の使い方が大きく変わる将来像も提示した。車内を休息や業務のための空間として再構成した自動運転コンセプト「Concept Horizon」も公開した。
工場には「PlantBrAIn」を導入する。リアルタイムの生産データとデジタルツインによるシミュレーションを組み合わせ、プレス、鋳造、溶接、塗装、組み立ての各工程で発生し得る不具合や設備のボトルネックを、量産前の段階で把握できるようにする。
車載サービスのOnStarも、AIを軸に刷新する。新たなOnStar AIアシスタントは、「Hey OnStar」の音声コマンドで、車内温度の調整、グローブボックスや充電口の開閉、タイヤ空気圧やバッテリー状態の確認などに対応する。
まずは2027年型Cadillac LyriqにOTAで先行導入し、その後ほかの車種にも広げる。GMによると、既存のGoogle Geminiベースの音声アシスタントとは異なり、車両機能を直接制御できる点が特徴で、警告灯の意味の案内やバッテリー診断など、車両システムに特化した機能を担う。
GMは、ソフトウェアとAIを開発から生産、車載サービスまで一体で活用し、中国メーカーの短い開発サイクルと技術競争に対抗する構えだ。一方で、ソフトウェア主導への転換を進めてきたGMが、量産車で技術の安定性と完成度を示せるかが今後の焦点となる。