Hashed代表のキム・ソジュン氏(写真:デジタルトゥデイ)

AIコーディングツールの進化を背景に、起業の参入障壁が下がっている。だがその一方で、市場では類似サービスの立ち上がりが早まり、競争は技術力だけでなく価格、販路、資本力へと広がっている。スタートアップ各社は無料化、研究開発強化、自社データの活用などを通じて生き残り策を探っている。

こうした現状は、22日にソウル市江南区のHashedラウンジで開かれた「ナイトロ・トラックデイ」で共有された。会場では、AIが変えた起業環境と、それに対応するスタートアップの成長戦略が議論された。

AI検索結果の分析・最適化サービス「GPTO」を手がけるAcrossのイ・ジェホン代表は、新たな競争力として資本力を挙げた。イベント後の取材に対し、「AIによって技術面の参入障壁は下がり、いまはセールスとマーケティングの勝負になっている。そこから価格競争が過熱すれば、最終的には資本力の争いになる」と語った。

同氏によると、AIの活用で類似サービスを短期間で開発できるようになり、後発企業が低価格を武器に参入しているという。Acrossはこれまで有料だったモニタリング・分析機能の無料化を進めており、調達資金と売上をてこに価格競争に耐えながら、市場を先行して押さえる戦略を描く。

また、容易に複製できない競争優位として、ネットワーク効果と自社で蓄積したデータも重視する。Acrossは複数のサイト運営を通じて蓄積したデータとインフラを活用し、後発との差を広げる方針だ。

生成型UI技術を開発するGGUIのイム・ワンソプ代表は、技術面の参入障壁を改めて高める戦略を選んだ。2013年に初めて起業した当時は、ソフトウェア開発に多くの時間と費用が必要だったが、AIの発展によって、10年以上積み上げてきた開発力も以前ほど高い障壁としては機能しにくくなったと説明した。

イム代表は「セールスとマーケティングがほぼ全てになったように感じる」としたうえで、現在は研究開発に大半の時間を投じていると明らかにした。「結果がどうなるかは分からないが、他社が容易に追随できない技術の確保に集中している」と話した。

AIロールプレイングチャットサービス「Elyn」を開発するパク・ジョンファン代表は、製品差別化の重要性を強調した。AIコーディングツールについては「いまや誰もが使うもので、それ自体が競争力になるわけではない」と指摘。起業家には、どの課題を解決し、ユーザーにどのような体験を提供するのかを見極める力が求められるとした。

創業者間の競争が激しくなるなか、投資側も事業化支援を強めている。

Hashedでコミュニケーションを統括するハン・サンウ氏は、「製品を作るところまではできる。その次に、どう売上を作り、市場をどう開拓するかが課題だ」と説明した。

Hashedは、日本、アラブ圏、東南アジア、北米などに持つ海外ネットワークを生かし、創業チームの市場進出を支援している。4月には起業支援プログラムを「ナイトロ・バイ・Hashed」に改編したほか、常設コミュニティへと拡大し、AI起業家との接点を広げているという。

OpenAIもAIスタートアップのエコシステム支援に乗り出している。OpenAIでアジア太平洋および日本のエコシステム戦略・パートナーシップを統括するアンナ・ムト氏は同日のイベントで、「創業者と開発者はOpenAIの取り組みの中心にいる」と述べ、スタートアップ支援プログラムを紹介した。

同社はAPIクレジットや技術支援に加え、ベンチャーキャピタル(VC)のパートナーネットワークを活用した市場進出支援プログラムなどを運営しているという。

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