Teslaは、北米で前四半期に引き渡した新車の75%に運転支援ソフトウェア「FSD」を採用したと明らかにした。世界のFSD加入者は174万人に達しており、車両販売と月額課金を組み合わせたソフトウェア収益モデルが存在感を高めている。
電気自動車メディアのInsideEVが21日(現地時間)に報じたところによると、Teslaは直近の決算発表で、北米の新車引き渡しに占めるFSD採用率が75%に達したと公表した。前四半期の55%から20ポイント上昇した。
FSDはTeslaの運転支援ソフトで、現時点ではドライバーの監督を前提に提供されている。月額料金は99ドル。追加機能への月額課金に抵抗感が根強い中でも、新車販売時点で高い採用率を示した点が注目される。
Teslaは、FSDが足元の車両購入需要を支える主因の一つだと説明した。過去4年で最大規模の受注残を抱える中でも、自動運転ソフトの競争力が販売を後押ししたとしている。
TeslaのAIソフトウェア担当副社長、アショク・エルスワミ氏は、引き渡し車両のすべてにFSDの1カ月無料サブスクリプションが付帯すると説明した。無料期間を設けていても、その後に契約を継続する利用者がいるという。
Teslaが公表した世界のFSD加入者174万人には、月額契約者だけでなく、ソフトを一括購入した顧客も含まれる。同社は今回、加入者全体に占めるサブスクリプション契約の比率が50%を超えたことも明らかにした。
この比率を前提に単純計算すると、加入者のおよそ半数に当たる87万5000人が月99ドルを支払う契約者だった場合、月間のサブスクリプション売上高は約8660万ドル、年間では約10億4000万ドルとなる。ただし、加入者数や料金水準が維持されることを前提にした試算であり、実際の売上高とは差が出る可能性がある。
今回の数字は、Teslaのソフトウェア重視の事業戦略を映すものと受け止められている。Teslaは車両販売にとどまらず、自動運転機能を継続収益を生む事業として育成してきた。新車販売を通じてFSD利用者を獲得し、その後の月額課金で追加収益を積み上げる構図だ。
もっとも、加入者数だけでFSD事業の収益性を見極めるのは難しい。Teslaはサブスクリプション契約者の平均継続期間や解約率を開示していない。無料期間終了後にどの程度の利用者が有料契約へ移行し、継続するかが長期収益を左右する。Teslaは今後、解約率などの関連指標を公表する意向を示す一方、海外市場での承認手続きについては慎重な姿勢を維持している。
技術の商用化にも課題は残る。現在のFSDはドライバーの監督が必要で、完全自動運転には至っていない。Teslaは来年夏までに、ドライバー監督を必要としないFSDを購入者向けに提供する準備を整えられると予告した。ただし、提供は規制当局の承認を得た市場と、最新ハードウェアを搭載した車両に限られる見通しだ。
Teslaは、顧客車両を自社のロボタクシー・ネットワークに組み込む構想も進めている。FSDの高度化とサービス拡大が進めば、ソフトのサブスクリプション収入と自動運転サービスが、車両販売後の新たな収益源として定着する可能性がある。
FSD事業の持続的な成長を測る上では、加入者数に加え、有料契約への転換率や継続率、海外市場での規制承認の進展が重要な指標となる。北米新車でFSD採用率が高まる中、Teslaがこれを長期的な継続収益と自動運転サービスの拡大につなげられるかが焦点となる。