Google元最高経営責任者(CEO)のエリック・シュミット氏は、AIエージェントの普及によって、CEOを含む経営陣の中核業務が大きく変わるとの見方を示した。AI秘書が経営状況の把握や社内調整を担うようになれば、意思決定のスピードが上がる一方、企業が必要とする人員も大きく減る可能性があるという。
Business Insiderが10月21日(現地時間)に報じたところによると、シュミット氏は将来のCEO像として、企業の経営状況を一目で把握できるAI秘書の支援を受ける形を挙げた。その過程で、企業の人員需要が大幅に縮小する可能性があると予測した。
同氏は、こうした変化のスピードにも注目している。AIを巡る競争は、過去のPC対Mac、Android対iPhoneよりも激しいとの認識を示した。モデル開発に約6カ月、テストに2カ月を要する一方で、市場投入からわずか5カ月で競争力を失いかねないとした。
AIバブル論には否定的な立場を示した。シュミット氏は、Anthropicの売上成長は自身がGoogleに在籍していた当時を上回る勢いだと説明。その成長が実際の顧客需要に支えられた売上によって裏付けられている点を強調した。
具体例として、ある創業者2人が毎週金曜日に、社内で自らの価値観に反する出来事が起きていないかをAI秘書に点検させているケースを紹介した。別の経営陣が、自身を模したAIを作成し、従業員の業務進捗の確認や指示、支援依頼への対応まで任せた事例にも言及した。
こうした活用には乱用の余地があるとして懸念を示す一方で、意思決定の迅速化にはつながると評価した。AIは人員管理の手法そのものを変え得るとの見方も示した。
同氏はCEO時代を振り返り、仕事の大半が会議で埋まっていたと語った。1日12時間、週5日を会議に費やし、プロジェクトや意思決定に関する説明を受けていたという。AIプラットフォームによって、こうした「調整コスト」は大幅に削減できるとの見方を示した。変更点の把握や経営層への共有、チーム間の連携調整といった業務は自動化できる可能性があると説明した。さらに、AIが多くの業務を担うようになれば、必要人員の相当数が減る可能性があるとした。
一方で、AIがすべての役割を代替するわけではないとも述べた。製品開発や営業、規制当局への対応、チーム運営を担う人材は引き続き必要だとしている。AIエージェントの経営活用が広がる中、生産性向上とあわせて、組織再編や人員配置の見直しが企業課題になる可能性がある。