国会政務委員会による22日の金融分野の総合国政監査では、金融業界のガバナンスから貸出金利の算定、金融消費者保護、セキュリティ対策まで幅広い問題が俎上に載った。金融持ち株会社で退任幹部が顧問や助言役としてグループ内に残る慣行や、金融監督院出身者の再就職、一部銀行の加算金利引き上げと優遇金利縮小、ボイスフィッシング被害の補償水準、住宅ローンの固定金利比率の低さなどが主な争点となった。
質疑では、金融会社の内部統制や経営責任、金融消費者保護体制に質問が集中した。金融当局は、金融持ち株のガバナンス見直しや金利公示の強化、ボイスフィッシング補償基準の整備などを検討する考えを示した。
◆金融持ち株の退任幹部38人が再就職 金融監督院OB人事も問題視
金融持ち株会社の退任幹部が、顧問や助言役の肩書でグループ内に残る「影の役員」慣行を巡っては、ガバナンス上の死角になっているとの批判が上がった。
キム・ヨンマン議員が示した資料によると、8つの金融持ち株会社を調べた結果、6社で退任幹部38人が系列会社や研究所に顧問、助言役、特任研究員などとして再就職していた。
役員を退任すれば、報酬や業務内容の開示が不十分になりやすく、取締役会や株主の監視も及びにくくなるというのが問題提起の趣旨だ。経営陣の責任範囲を明確にするため導入された「責務構造図」の実効性を損ないかねないとの懸念も示された。
金融持ち株ごとの運用実態にも言及があった。Woori Financialでは退任幹部向けの別職が設けられていると指摘されたほか、KB FinancialとBNK Financialでも、退職幹部の顧問・助言活動や報酬の支給、意思決定手続きの妥当性が問われた。
金融当局は、策定中の金融持ち株ガバナンス改善案に、退任幹部の顧問・助言制度に関する内容を盛り込む方向で実務協議を進めていると明らかにした。最終案に反映される可能性にも言及した。
一方、金融監督院の退職者が金融持ち株会社に再就職する慣行も論点となった。
チョン・ヒョンヒ議員が金融当局から受け取った資料によると、直近5年間で金融持ち株会社に就職した金融当局出身者152人のうち、金融監督院出身者は78人、金融委員会出身者は13人だった。
チョン議員は、監督当局の職員が退職後に監督対象企業へ移る構図は、利益相反や天下り的な優遇を招きかねないと指摘した。現行の就職審査や接触制限のルールだけでは、十分な歯止めになっていないとの見方を示した。
これに対し、イ・チャンジン金融監督院長は、退職後1年間の庁舎出入り制限や3年間の接触制限といった内部規定はあるものの、実効性には限界があると説明した。その上で、公正取引委員会並みかそれ以上の管理体制を参考に、内部規制を強化する考えを示した。
◆地方銀行やネット銀行にも波及 貸出金利の透明性が焦点
銀行業界では、加算金利の調整と優遇金利の縮小が再び争点となった。これまで大手5行の貸出金利算定方式が問題視されてきたが、この日は地方銀行とネット銀行にも追及の対象が広がった。
ミン・ビョンドク議員は、BNK慶南銀行と済州銀行が加算金利を引き上げる一方で、優遇金利の適用幅を縮小したと指摘した。K bankも一部ローン商品の加算金利を引き上げた事例として挙げられた。
特に問題視されたのは、銀行が目標収益率を調整することで加算金利を引き上げられる点だ。法定費用を加算金利に反映しにくくするよう銀行法が改正された後も、別の金利構成要素を動かせば、借り手の実質的な利払い負担を軽減する制度改正の効果が薄れかねないという指摘が出た。
金融委員会と金融監督院による合同の特別点検を求める声も上がった。
金融当局は、銀行の金利算定の実態を追加で点検する方針を示した。イ院長は、消費者影響評価や包摂金融評価を活用し、貸出金利の決定過程に関する公示の拡充も検討すると説明した。
金利決定に関する情報を金融消費者が確認しやすくすることで、銀行間競争を促し、消費者の選択権を広げる狙いがある。
◆ボイスフィッシング補償は低水準 セキュリティ対策にも疑問
金融消費者保護の分野では、ボイスフィッシング被害に対する自主補償制度の実効性が問われた。
チョン議員は、昨年のボイスフィッシング被害額が2811億ウォンに達した一方、自主補償制度による実際の補償額は10億8000万ウォンにとどまったと指摘した。
銀行が補償責任を認める場合でも、補償割合は10~20%にとどまるという。一部の判例では銀行の補償責任を約40%認めたケースもあるとして、現行の自主補償基準を補完すべきだとの要求が出た。
被害者が詐欺犯にだまされて自ら送金した場合や、身分証などの個人情報を渡した場合でも、銀行側の責任をより広く認める必要があるとの指摘もあった。
イ院長は、自主補償制度の補償水準が低いとの認識を示し、長期的には無過失補償責任の制度化が必要だと述べた。制度化までの間も、関連判例の補償基準を金融会社が反映できるよう指導する考えを明らかにした。
銀行のセキュリティ体制に対する問題提起も続いた。
ソン・ミョンス議員は、国内19銀行のうち9銀行がオンライン金融取引の過程で、別途セキュリティプログラムのインストールを義務付けているとし、こうしたプログラム自体がハッキングの侵入口として悪用されるおそれがあると指摘した。
ソン議員が示した資料によると、国内のインストール型セキュリティプログラム7種類で計19件の脆弱性が確認された。特定のセキュリティプログラム関連サーバ7台でも、22件の脆弱性が見つかったという。
利用者保護を目的に導入したプログラムが、かえって新たなセキュリティリスクを生んでいるとして、従来のインストール型中心の金融セキュリティ体制を見直すべきだとの主張だ。
イ院長は、金融セキュリティ体制の見直しが必要だとした上で、政府のAIセキュリティ政策とも連携しながら、金融委員会や関係機関と協議していく考えを示した。
◆新規住宅ローンの完全固定金利比率は10% 金利変動リスクを懸念
住宅ローンの金利構造の改善も主要課題として取り上げられた。
ハン・チャンミン議員が示した資料によると、今年第2四半期末時点の住宅ローン残高は767兆ウォンで、このうち完全固定金利型は約100兆ウォンにとどまった。全体の約13%にすぎない。
新規取扱額に占める完全固定金利型ローンの比率は、2023年第4四半期の19%から、足元では10%程度まで低下した。
今後5年以内に金利の見直し時期を迎える住宅ローンは約165兆ウォンに上るとされ、金利変動リスクにさらされる規模の大きさも指摘された。
ハン議員は、金利上昇局面でローン金利の見直しが重なれば、家計の元利返済負担が膨らむとして、長期固定金利ローンの供給拡大を求めた。
金融委員会は、長期固定金利ローンを増やすには、借り手向けのインセンティブと、銀行の長期資金調達構造の改善を一体で進める必要があるとの立場を示した。
昨年発足した長期固定金利活性化タスクフォースが中断したとの指摘に対しては、実務協議は継続していると説明した。
金融当局は、銀行による長期固定金利ローンの取り扱い拡大に向け、金融市場の構造や関連制度の改善策を検討する方針だ。