Appleが早ければ来週にも、初のタッチスクリーン対応MacBook Proを披露する可能性が浮上した。これまでノートPCの画面を直接触って操作する方式に距離を置いてきた同社が、Macの入力設計を見直すのか注目されている。
米ITメディアのTechRadarが22日(現地時間)に報じたところによると、Appleはタッチスクリーン対応のMacBook Pro投入を検討してきたという。実際に製品がお披露目されれば、機能追加にとどまらず、MacBookの操作体系そのものの見直しにつながる可能性がある。
Appleは長年、MacBookにタッチスクリーンを採用してこなかった。その代わりに、マルチタッチトラックパッドを進化させ、画面表示と入力デバイスの役割を分ける設計を維持してきた。
この方針の背景には、共同創業者スティーブ・ジョブズ氏の製品哲学がある。ジョブズ氏は2010年の製品発表イベントで、垂直に立った画面を手で操作する方式に否定的な見解を示していた。
短時間のデモでは有効に見えても、長時間使えば腕への負担が大きいというのが同氏の考え方だった。タッチスクリーン搭載ノートPCの人間工学上の限界を指摘し、入力面は水平に近いほうが適していると説明していた。
その後のAppleは、画面そのものにタッチ機能を持たせるのではなく、キーボードやトラックパッドを中心に操作性を高める方向で改良を続けてきた。2016年にMacBook Proへ導入したTouch Barも、その流れの中に位置付けられる。
Touch Barはキーボード上部にタッチ対応エリアを設けたものの、ディスプレーを直接操作する仕組みではなかった。
当時マーケティングを統括していたフィル・シラー氏も、タッチスクリーンMacBookには慎重な姿勢を示していた。スティーブン・レビー氏とのインタビューでは、同社がこの方式を何度も検討しながらも、MacBookに適した方向ではないと判断したと明らかにしている。
一方、市場環境は変わりつつある。Windows 11搭載ノートPCでは、画面を折りたためるモデルや、キーボードを取り外せる2in1製品が継続的に投入され、タッチ操作を前提とした利用体験が広がってきた。
Appleがタッチスクリーン対応MacBookを投入すれば、これまで一定の距離を置いてきた操作方式を改めて取り込む動きと受け止められる可能性がある。
TechRadarは、Appleの経営体制の変化も背景として取り沙汰されていると伝えた。新CEOのジョン・ターナース氏と、ティム・クック執行委員長が関連する判断に関与した可能性にも触れている。
もっとも、製品開発には通常数年単位の時間を要する。今回の方向転換が特定の経営陣の判断だけで決まったというより、長期にわたる開発と検討の結果である可能性もある。
今回の動きを、ジョブズ氏の哲学を全面的に否定するものと断じるのは早計だ。ジョブズ氏自身も、必要であれば従来の考え方ややり方を変えるべきだとの趣旨の発言を残している。
つまり、技術の進歩や利用者ニーズの変化に応じて、過去の判断を見直す余地はあるということだ。
今後の焦点は、AppleがMacBookにタッチスクリーンをどのような形で実装するかにある。画面に直接触れる際の腕の疲労を抑えつつ、既存のキーボードやトラックパッドと自然に連携できる設計にできるかが重要になる。
単にタッチ機能を加えるだけでは不十分だ。MacBookらしい使用感を維持しながら、新たな入力手段として成立させられるかが問われる。
現時点では、Appleが来週にもタッチスクリーン対応MacBook Proを実際に公開するかどうかは確定していない。ただ、実現すればTouch Barのような限定的な試みにとどまらず、MacBookの操作体系や製品設計の方向性を左右する節目になる可能性がある。