写真=Shutterstock/トークン化株の取引は海外で拡大しているが、米国では発行企業の同意が普及の鍵を握っている

海外でトークン化株の取引が急拡大する一方、米国では主要上場企業が自社株関連トークンの取り扱いに反対し、普及へのハードルが浮き彫りになっている。ブロックチェーンを活用した24時間取引や投資家層の拡大といった利点が注目される半面、発行体の管理権限や株主の権利関係をどう扱うかが争点になっている。

CNBCによると、Goldman Sachs、Microsoft、Qualcomm、Caterpillar、McDonald's、Western Digital、Alphabetなどが、OKXICE上で自社株のトークン化商品が取引されることに反対した。21日時点で、反対を表明した企業は計16社に達した。

トークン化株は、株式などの伝統的な金融資産をブロックチェーンベースのデジタルトークンとして発行・売買する仕組みだ。取引や決済の効率化に加え、既存の証券市場とは異なる流通経路を提供できる点から関心を集めている。

実際、海外市場では関連取引が急増している。Bitwise Asset Managementの最新の四半期ステーキング報告書によると、Robinhood Chainにおけるトークン化株の取引高は、7月の5億2600万ドル(約789億円)から、8月は22億1000万ドル(約3315億円)、9月は113億1000万ドル(約1兆6965億円)へと膨らんだ。

Hyperliquidでも、暗号資産以外の市場が無期限先物取引高に占める割合は、第3四半期に36.5%へ上昇した。前四半期の32.7%から拡大した。Solanaでも、トークン化株は最も成長の速い分野として集計された。

一方、米国では発行企業の同意の有無が導入拡大の障害として意識され始めている。OKXと、ニューヨーク証券取引所の親会社Intercontinental Exchangeが共同で立ち上げたトークン化証券プラットフォーム「OKXICE」は20日、新たな反対企業の一覧を公表した。これに先立ち、CoreWeave、UnitedHealth、Broadcom、Applied Digital、AppLovin、Cerebrasなども反対姿勢を示していた。

こうした温度差については、海外市場と米国とでトークン化取引の仕組みが異なるためとの見方がある。Injectiveの最高執行責任者(COO)、ミルザ・ウディンは、海外では発行企業の許諾を得ずに、原資産の値動きに連動するオンチェーンの無期限先物やラップドトークンを取引するケースが中心だと説明した。これに対し米国モデルは、実際の株式そのものをブロックチェーン上で扱う方式で、発行企業の利害が直接関わるという。

企業側が懸念するのは、管理権限と株主権利の扱いだ。ウディンは、Goldman SachsやMicrosoftのような企業はトークン化に伴うリスクを認識している一方、得られる利点を十分に見いだせていないと分析する。発行体が関与しないトークンが24時間取引されることで、議決権をはじめとする株主権利の位置付けが不透明になりかねない点が懸念材料だという。

ウディンは、業界がグローバルな投資家基盤の拡大や、時間の制約を受けない市場の利点を企業側に十分示せるようになるまでは、トークン化株市場の成長は海外が先行するとの見方を示した。

もっとも、上場企業の反対が長期化すると断定するのは早計だとの見方もある。Clear Streetのアナリスト、オーウェン・ラウは、投資家基盤の拡大、24時間取引へのアクセス、流通チャネルの多様化といった利点を踏まえ、一部企業がトークン化に参加する可能性があるとみている。取引量が少ない銘柄や、株価推移が低調な銘柄が候補になり得るという。

トークン化は、企業にとって知名度向上に加え、配当の直接支払いや関連コストの削減につながる可能性がある。投資家側でも、トークン化資産を分散型金融(DeFi)プラットフォームの担保として活用できれば、運用の柔軟性が高まる余地がある。

OKXICEは、発行企業が参加の可否を選べるようプラットフォームを設計したと説明している。OKXICE共同議長のアンドリュー・クオモは、多くの企業は当初から参加するのではなく、まず市場環境を見極めるだろうと述べた。その上で、米証券取引委員会(SEC)が整備したモデルも、参加企業と不参加企業の双方を受け入れる設計だとしつつ、参加可能な企業数や取引量には制限があると付け加えた。

SECは先月、トークン化株を一定期間認めるイノベーション免除制度を発表した。同制度では、プラットフォームが株式のトークン化を進める際、発行企業に事前通知した上で、通知から30日後に取引を開始できる。OKXICEは10月4日、自社プラットフォームで60銘柄超のトークン化株を取り扱う計画を公表していた。

トークン化株の普及を左右するのは、国ごとの規制の違いだけではない。投資家と発行企業の利害をどう調整するかも重要だ。ラウは、業界としてトークン化によって発行企業が得られる実質的なメリットを、より明確に示す必要があると指摘した。

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