暗号資産相場の反発局面で、主要ステーブルコインであるUSDCとUSDTの供給動向に違いが出ている。オンチェーン分析企業のCoin Metricsは、両銘柄の発行量を単純に合算してビットコインの新規需要を判断する従来手法には限界があるとの見方を示した。
CryptoSlateが21日(現地時間、前日)に報じたところによると、Coin MetricsはUSDCとUSDTが暗号資産のリターンに対して異なる反応を示していると分析した。ステーブルコイン全体の発行量だけでは、市場への資金流入の実態を十分に把握しにくいという。
Coin Metricsによれば、USDCとUSDTの発行量は、ステーブルコイン以外の暗号資産の過去リターンに対して、それぞれ逆方向の関係を示した。暗号資産価格が上昇しても、両銘柄の供給が同じ方向に、同じペースで増えるとは限らないとしている。
このため、両銘柄の発行量を合算した単一指標だけでビットコインの新規需要を見極めるのは難しいという。総供給量が増えても、どのステーブルコインが増加を主導したかによって意味合いは変わる。合算値だけでは、資金の性格や流入先の違いも見えにくい。
USDCとUSDTを同じ先行指標として扱えば、市場局面ごとの差を見落とす可能性がある。両銘柄の発行量が過去の暗号資産リターンに対して異なる動きを示している以上、供給の増減を一律にリスク選好回復のシグナルと解釈するのは適切ではない。個別のステーブルコインの増減には、価格変動に加え、取引構造や資金移動の経路といった異なる要因が影響し得るためだ。
実際、今回の反発局面でも両銘柄の動きは分かれた。ビットコインや主要暗号資産が持ち直す一方で、USDCは伸びが鈍化し、USDTはより速い増加傾向を示した。ステーブルコインの供給量を価格予測の単一指標として使いにくいことを示す結果といえる。総供給の増加率だけを見れば、こうした差異は一つの数字に埋もれてしまう可能性がある。
もっとも、今回の分析は特定の規制変更や個別事象を直接の原因と断定したものではない。重要なのは、同じ反発局面でもステーブルコインごとに供給フローが異なっていた点だ。総発行量の増減を見るだけでなく、どの資産の供給が増減したのか、その変化が価格反発の前後でどう現れたのかを分けてみる必要があるとしている。
今後の焦点は、USDCとUSDTの供給変化がビットコインの値動きとどのような関係を維持するかにある。Coin Metricsは、USDCの緩やかな成長とUSDTの急速な拡大が、今回の暗号資産相場の反発と重なって表れた点に注目した。ただ、この関係だけでビットコインへの新規資金流入を断定することはできず、ステーブルコインごとの供給変化と実需は切り分けて解釈すべきだと指摘している。