ビットコイン担保ローン市場が拡大している。写真=Shutterstock

ビットコインを売却せず、現金やステーブルコインを借り入れる「ビットコイン担保ローン」の市場が回復している。2022年の業界混乱後に縮小した市場は持ち直しつつあり、資産流動化取引の登場や大手金融機関の参入を背景に、裾野が広がってきた。

ブロックチェーンメディアのDecryptが21日(現地時間)に報じたところによると、中央集権型の暗号資産レンディング市場は2023年末に底を打った後、3倍超に拡大した。ただ、市場が拡大するなかでも、ビットコイン相場の急落に伴う担保清算や、貸し手側の資産管理リスクは引き続き大きな論点となっている。

ビットコイン担保ローンは、保有するビットコイン(BTC)を担保として預け、その評価額の一部を借り入れる仕組みだ。BTCを売却せずに資金を確保できるため、値上がり益を狙う投資機会を維持しやすい点が特徴とされる。元本と利息を返済すれば担保は返還されるが、ローンそのものの課税関係や売却時の税負担は、各管轄地域の制度によって異なる。

重要な指標となるのがLTV(担保価値に対する借入比率)だ。業界では一般に30~70%の水準が用いられる。例えば、10万ドル(約1500万円)相当のBTCを担保にLTV50%を適用した場合、5万ドル(約750万円)を借り入れられる計算になる。

一方、BTC価格が下落して担保価値が目減りすると、LTVは上昇する。一定水準を超えれば、貸し手が追加担保の差し入れや一部返済を求める場合があり、対応できなければ担保の一部または全部が清算される可能性がある。DeFiでは、こうした清算がスマートコントラクトによって自動執行されるケースもある。

貸出形態は大きく、中央集権型金融(CeFi)と分散型金融(DeFi)に分かれる。CeFiでは、事業者が本人確認を実施したうえで、直接またはカストディ事業者を通じて担保を保管する。

これに対しDeFiでは、スマートコントラクトが担保管理を担う。BTCを他のブロックチェーン上で利用するため、ラップトークンに変換するケースが多い。ラップドビットコインは、実際のBTCをカストディで保管し、それを1対1で裏付けとして発行するトークンを指す。

この市場は、2022年のCelsiusとBlockFiの経営破綻を受けて深刻な信認低下に見舞われた。問題視されたのが、貸し手が顧客から預かった担保を第三者に再貸し付けする運用だ。

顧客資産が追加的なリスクにさらされるとの批判を受け、一部事業者は再貸し付けを制限し、担保保管の仕組みを見直した。例えばUnchainedは、借り手、同社、独立した鍵管理者がそれぞれ鍵を保有する「2-of-3マルチシグ」を採用し、いずれか1者だけでは担保を動かせない構造とした。

足元では、市場拡大と調整が並行して進んでいる。Galaxy Researchによると、2026年4~6月期の暗号資産担保ローン市場の規模は561億6000万ドル(約8兆4240億円)で、前期比16.8%減だった。

借り手のレバレッジ縮小が進む一方、中央集権型レンディング事業者の貸出残高はDeFiプロトコルを上回ったという。

大手金融機関の関与も広がっている。Lendは2026年2月、1億8800万ドル(約282億円)規模のビットコイン担保資産流動化取引を完了した。このうち1億6000万ドル(約240億円)規模のシニア債には、S&P Globalが暫定BBB-の格付けを付与した。

Silicon Valley Bank(SVB)は、これがビットコイン担保ローンのポートフォリオに付与された初の投資適格格付けだとしている。Coinbaseも、自社集計ベースでビットコイン担保ローンの実行額が10億ドル(約1500億円)を超えたと説明した。SVBは2026年上期、複数の主要金融機関が一部顧客向けにビットコイン担保ローンの提供を始めたことも明らかにしている。

金利は事業者や条件によって幅が大きい。2026年10月時点の公開金利では、Coinbaseが年5.8%から。SALTは年7.49~10.5%、Lendは25万ドル(約3750万円)未満のローンで年11.49%、200万ドル(約3億円)以上では年9.25%としている。

Strikeは、利息を毎月支払うローンに年10.5~13%を適用し、満期時に利息を一括返済する場合は1ポイント上乗せする。Unchainedは名目金利12%、APR(年率)14.18%を提示している。DeFiの金利は需給に応じて変動する。

借り手は表面金利だけでなく、実行手数料や中途返済手数料、清算手数料の有無、さらに担保の保管方式も確認する必要がある。とりわけBTC価格が急落した場合には担保が清算されるおそれがあり、DeFiではスマートコントラクトや関連インフラの脆弱性が損失につながる可能性もある。

実際、2026年4月にはKelpfDAO関連インフラから2億9100万ドル(約437億円)が流出する攻撃が発生し、Aave利用者は大規模な資金流出の過程で出金に支障を来したという。市場が伝統的な金融機関へと広がる一方で、商品選びでは金利だけでなく、担保管理の主体、清算条件、技術リスクまで含めて点検する必要がある。

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