イーロン・マスク氏。TeslaとSpaceXの合併の可能性に言及した(写真=Reve AI)

イーロン・マスク氏が21日、TeslaとSpaceXの合併の可能性に言及した。両社は独立取締役で構成する特別委員会をそれぞれ設置し、検討に着手する。合併が実現すれば、企業価値は約3兆5000億ドル(約525兆円)規模となり、両社が保有する計3万221BTCのビットコインも連結財務諸表に反映される見通しだ。

ブロックチェーンメディアのDecryptが21日付で報じた。マスク氏はSpaceXの第3四半期の業績発表にあわせ、両社の取締役会が合併の可能性を検討するため、独立取締役による特別委員会を設置したと明らかにした。一方で、具体的な取引条件はまだ決まっておらず、合併を既定路線と受け止めるのは行き過ぎだとの認識も示した。

合併が成立した場合、統合企業にはAIチャットボット「Grok」、SNS「X(旧Twitter)」、衛星インターネットサービス「Starlink」に加え、Teslaのロボタクシーやヒューマノイドロボット「Optimus」が組み込まれることになる。

さらに、テラファブのチップ計画や「Starmind」の軌道データセンター構想も統合事業に含まれる。

今回の構想は、マスク氏を中心とする関連企業の再編の流れに連なるものとみられる。マスク氏のAIスタートアップxAIは2025年3月ごろにXを買収し、SpaceXは今年2月にxAIを企業価値2500億ドルで買収。その後、6月に新規株式公開(IPO)を実施した。

中核事業として位置付けられているのが、宇宙空間にAIデータセンターを構築するStarmindだ。SpaceXはこの計画に向け、米規制当局に最大100万基の衛星配備の承認を申請した。

マスク氏は、2027年末に配備を開始し、2028年には本格的な規模へ拡大するとの見通しを示した。一方、SpaceXは上場書類で、軌道上AIコンピューティング技術はまだ実証されておらず、商業化に至らない可能性もあると警告している。

Teslaは、テキサス州で共同建設する168億ドル(約2兆5200億円)規模のテラファブを通じ、Optimusや「Cybercab」ロボタクシー、宇宙データセンター向けに必要なチップを供給する役割を担う。SpaceXはすでにAnthropicやGoogleなどにAIサーバーファーム向けの計算資源を提供しており、こうした事業が第3四半期の収益性改善にも寄与したという。

両社のビットコイン保有額にも注目が集まっている。Teslaは直近の四半期報告書で1万1509BTC、SpaceXはIPO前に提出した目論見書で1万8712BTCをそれぞれ開示した。合計は3万221BTCで、ビットコイン価格を約8万3000ドルとすると、約25億ドル(約3750億円)に相当する。

特にSpaceXが開示した保有量は、これまでブロックチェーン追跡データで把握されていた規模の2倍を上回った。合併が実現すれば、両社のビットコイン保有分は連結財務諸表に計上されることになる。

もっとも、両社は合併協議に絡んだビットコインの追加購入や売却の計画については示していない。

合併には株主承認というハードルも残る。取引成立にはTeslaの流通株式総数の50%に相当する賛同を確保する必要があり、マスク氏自身も高いハードルだとの見方を示した。Teslaの年次株主総会は12月3日に予定されている。

ガバナンス面の変化も焦点だ。Barclaysは、合併後の新会社におけるマスク氏の議決権が約56%に達すると試算した。マスク氏は現在Tesla株を約20%保有する一方、SpaceXでは複数議決権株を通じて議決権の大半を握っている。

規制面や地政学リスクも残る。SpaceXは米軍や情報機関、米航空宇宙局(NASA)の主要契約先であるのに対し、Teslaは中国・上海工場への依存度が高い。ウォール街は総じて合併の可能性を前向きに受け止めつつも、株主が受け入れられる評価額や取引条件を最大の不確定要素として挙げている。

今回の議論の焦点は、ロケットや衛星、AIモデル、チップ、ロボット、車両を1社のもとで束ねる構想の実現性にある。SpaceXの軌道データセンター構想とTeslaのチップ生産基盤が実際に結び付くかどうかが、合併の実質的な意味を左右しそうだ。

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