仮想ECの1年間運営実験で、GPT-5.6 SOLが初期資産を14.3倍に増やし首位となった。

AIモデルに仮想EC事業を1年間運営させた実験で、一部モデルが初期資産を14倍超に増やしたことが分かった。一方で、資金管理に失敗して途中で破綻するモデルもあり、自律的な事業運営能力には大きな差が出た。

Alibaba Qwen研究チームと香港科技大学の共同研究グループは21日、AIの長期的な経営能力を評価するベンチマーク「E-Commerce Bench」の研究結果を発表した。

実験では18のAIモデルに対し、それぞれ初期資金10万人民元を付与し、365日間にわたって仮想ECを運営させた。金額は約218万円に相当する。実際の事業運営ではなく、電子商取引データを用いたシミュレーションとして実施した。

各モデルは最大4店舗を運営し、市場調査、サプライヤーとの交渉、商品仕入れ、価格設定、配送、返品対応、資金管理までを担った。実験対象には商品6886点、サプライヤー576社が含まれた。

このうち152社は、価格を偽ったり不良品を納入したりする不正業者として設定された。さらに売上金は配送後9日間入金されない条件とし、黒字でもキャッシュフローを管理できなければ破綻し得る設計とした。

最終資産で首位となったのは、OpenAIの「GPT-5.6 SOL」だった。初期資金10万人民元を平均約143万人民元まで増やし、14.3倍の伸びを記録した。日本円では約312万円に相当する。ただ、不正業者への支出比率は18モデル中16位で、この点では弱さも見られた。

2位はAnthropicの「Fable5」で、最終資産は約80万人民元だった。日本円では約175万円。GPT-5.6 SOLより少ないツール利用回数で、高い収益効率を示した。

オープンウェイト型モデルでは、Alibabaの「Qwen3.8 Max Preview」が約42万人民元で最も高い成績だった。日本円では約92万円。過去の取引価格を記憶し、再交渉に生かす能力が目立ったという。

一方、全90回の実験のうち10回は途中で破綻した。モデルによっては5回の試行のうち4回で資金不足に陥り、事業を継続できなかったケースもあった。

研究グループは、AIが長期間にわたり事業を運営できる可能性を示した一方、詐欺の見抜きや資金管理にはなお限界があると分析している。

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