Kraftonは10月21日、自社開発した300億パラメータ級の大規模言語モデル(LLM)「Raon-1 Mini」のプレビュー版を公開した。Hugging Faceで提供し、Apache 2.0ライセンスのもとで無償公開する。
Raon-1 Miniは、設計から学習までをKraftonが自社で手掛けたLLM。日本語と英語に対応し、正式版の公開に先立ってプレビュー版として提供を始めた。
ライセンスはApache 2.0を採用した。研究用途に加え、商用サービスや製品開発にも利用でき、誰でも無料でダウンロードできる。
モデルには、総パラメータ数300億のうち、推論時に必要な40億パラメータのみを有効化するMixture of Experts(MoE)構造を採用した。これにKrafton独自の線形アテンション技術を組み合わせることで、応答速度の向上と推論コストの抑制を狙う。
Kraftonによると、自社評価ではRaon-1 Miniは海外の同規模モデルを上回る性能を示し、一部指標では韓国内の大規模モデルに近い水準を記録した。主な強みとして、韓国語での対話性能、指示追従性能、応答速度を挙げている。
同社は、フォーマット指定やペルソナ設定に対応する指示実行能力が、多段階タスクを処理するAIエージェント用途にもつながるとみている。開発では、単純なベンチマークスコアではなく、実運用時のコストパフォーマンスを重視したという。
Raon-1 Miniは、Kraftonが4月に立ち上げたAIモデルブランド「Raon」の中核となる基盤LLMでもある。同社はこれまでに、音声言語モデル「Raon-Speech」、リアルタイム音声対話モデル「Raon-SpeechChat」、テキスト読み上げモデル「Raon-OpenTTS」、ビジョンエンコーダ「Raon-VisionEncoder」の4モデルをオープンソースとして公開している。
今後はRaon-1 Miniの性能をさらに高めたうえで、正式版を公開する計画。正式提供に合わせ、学習過程と最終性能をまとめたテクニカルレポートも公表する。
Kraftonのイ・ガンウク最高AI責任者(CAIO)は「5年以上にわたり蓄積してきたAI研究開発の力を基に、競争力のある言語モデルを独自に開発した」とコメント。「性能を高めながらコスト負担を抑えたLLMを通じて、さまざまな産業でのAI活用の裾野を広げていく」と述べた。
KraftonのAI研究組織はこれまで、NeurIPS、ICML、ICLRなど主要な国際AI学会で54本の論文を発表してきた。NeurIPS 2026では、メイントラックで9本の論文が採択されたとしている。