今年相次いだプロジェクト終了は、資金調達額の大きさだけでは生き残れない現実を映し出した。写真=Reve AI

暗号資産プロジェクトとプロトコルで、今年に入って運営終了に追い込まれた案件が82件に達した。長引く弱気相場に、収益性の悪化や資金枯渇、セキュリティ事故が重なり、DeFiからブロックチェーンインフラ、Web3ゲームまで幅広い分野で撤退が相次いでいる。

Cointelegraphが20日(現地時間)に報じたところによると、暗号資産リサーチャーのステイシー・ムーア氏は、今年終了したデジタル資産プロジェクト・プロトコル82件を集計し、Xで公表した。対象にはBalancer、Radiant Capital、Neon EVM、Step Financeなどが含まれる。ムーア氏は、今回の終了件数について「過去に例を見ない規模」との見方を示した。

市場環境の悪化は、各プロジェクトの経営を直撃した。ビットコインは2025年10月に12万6000ドルを超えて過去最高値を付けたが、今年初めには6万ドルを割り込んだ。市場の縮小でユーザー獲得や収益化が難しくなり、事業基盤の脆弱なプロジェクトを中心に運営終了の判断が広がったとみられる。

象徴的な事例が、イーサリアムのレイヤー2ネットワーク「Blast」だ。Blastは今月初めに運営終了を発表し、経済的に持続可能で信頼できる道筋を見いだせなかったと説明した。預かり資産は一時20億ドルを超えていたが、最終的に収益性の壁を越えられなかった。

終了に至った事情はプロジェクトごとに異なる。Step Financeは2月に発生した大規模なトレジャリー侵害を受け、運営を中断した。Radiant Capitalは2024年のエクスプロイト被害から立て直せず、6月に事業終了方針を公表した。Coinbaseの支援を受けたSatori Financeも、収益だけでは運営維持が難しいとして停止を決めた。

こうした流れは、別の集計でも確認できる。DefiLlamaは8月のレポートで、今年運営終了を発表した暗号資産プロジェクトが100件に上ると報告した。このうち40件は直近90日以内に終了した。十分なユーザーを確保できない、あるいは運営費を賄えるだけの収益を生み出せないプロジェクトが少なくないという。

運営終了の最大要因は、プロダクトと市場のミスマッチだった。これに資金枯渇、収益不足、他プロダクトへの転換が続いた。技術開発やトークン発行だけでは、事業を継続しにくくなっている実態を示している。

多額の資金を集めた案件も例外ではない。終了したプロジェクトの累計資金調達額は約10億ドル(約1500億円)、累計手数料収入は2億5000万ドル(約375億円)に達した。このうち9件はそれぞれ5000万ドル(約75億円)超を調達していたが、最終的に運営継続には至らなかった。初期調達額の大きさが、長期的な存続を保証しないことが改めて浮き彫りになった。

ベンチャー投資とM&Aの動きからも、市場再編の流れが鮮明になっている。DefiLlamaによると、2026年上半期のベンチャー投資額は前年を上回った一方、取引件数は80%減少した。レポート作成時点のM&A件数は87件で、前年から65%増えた。資金が新規プロジェクトに幅広く配分される局面ではなく、実績のある事業や買収を通じた再編に集中している構図だ。

こうした状況を受け、暗号資産市場では単純なトークン発行や初期の資金調達よりも、実際のユーザー基盤と持続可能な収益構造を確保できるかが重視されつつある。セキュリティ事故に耐えうる財務体質と製品競争力を欠くプロジェクトには、今後も一段の淘汰圧力がかかる可能性が高い。

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