ビットコインが再び急騰局面に入れば、企業による買い増しが活発化する可能性がある。もっとも、市場では、2025年のような一律の資金調達ブームがそのまま再現される公算は小さいとの見方が出ている。
20日付のCointelegraphによると、企業の買い再開のカギを握るのは株価プレミアムだ。Bitwiseの調査責任者、ライアン・ラスムセン氏は、2026年第3四半期に入って企業のビットコイン購入が全体として鈍化したと指摘した。
開示情報ベースでは、Strategyの第3四半期の純購入は1666BTCで、第2四半期の8万3901BTCから大きく減少した。ほかの上場企業の純購入も、前四半期の4万5725BTCから5617BTCへ縮小した。
企業の買いが戻るには、株価が保有BTC価値に対するプレミアムを取り戻す必要がある。Bitfinexでデリバティブ部門を統括するジャグ・クーナー氏は、プレミアムが回復すれば、新株発行による資金調達を行っても既存株主の1株当たりBTC保有量を薄めず、追加購入に踏み切りやすくなると説明した。
ただし、こうした仕組みは以前ほど機能しにくくなっている。クーナー氏は、株主がプレミアムの消失を経験し、一部企業が弱気相場で保有分を売却したと指摘。現在の投資家は、資金調達コストや財務管理、1株当たりBTC保有量をこれまで以上に厳しく見極めているとした。
実際、第3四半期にはビットコインを財務資産として保有する戦略から撤退する企業が増えた。Bitwiseの10月の市場レポートによると、2025年の財務ブーム期に参入した12社が保有分を全量売却した。株価プレミアムの消失後、債務返済や株主還元を目的にビットコインを処分したという。
仮に企業の買いが再開しても、資金はまず既存の大手企業に集まりやすいとみられる。新規参入企業の回復は相場上昇の後半にずれ込む可能性があり、プレミアム拡大後に新規上場が相次ぐ局面そのものが警戒シグナルになり得るとの見方も示された。
一方、ビットコイン相場の回復を左右するのは企業需要だけではない。ラスムセン氏は、第3四半期のビットコイン現物ETFへの純流入が64億ドル(約9600億円)に達したとし、企業買いは需要全体の一部に過ぎないと述べた。さらに、Strategyを除く大企業の多くは、新株発行ではなく営業キャッシュフローを原資にビットコインを買い増しており、規模は小さくても相対的に安定した需要だと評価した。
ただ、現物ETF資金も絶対的な下支えとは言い切れない。クーナー氏は、ETF需要が一定期間は相場回復を支える可能性がある一方、ベーシストレード由来の資金という側面もあり、急速に巻き戻される可能性があると警鐘を鳴らした。SosoValueの集計では、ビットコイン現物ETFは先週、約2億2900万ドル(約343億円)の純流出を記録した。
今後のビットコイン市場では、価格反発の有無に加え、財務戦略を採る企業の株価プレミアムがどのペースで回復するか、現物ETF資金がどこまで持続するか、そして再び資金調達に動ける企業がどこまで広がるかが主な注目点となりそうだ。