Googleは、PyTorchベースのAIアプリを自社のTPUやGoogle Cloudへ移行しやすくするオープンソースプロジェクト「TorchTPU」を公開した。既存アプリのコードを作り直さずにTPU上で実行できるようにするのが狙いだ。
米TechCrunchが20日(米国時間)に報じた。TorchTPUでは、簡単な設定変更だけでアプリをTPU環境やGoogle Cloudへ移行できるとしている。
PyTorchは、Metaが2016年に開発したオープンソースのツールで、AIモデルの構築や学習、実行に広く使われている。一部調査では、AIアプリ全体の85%がPyTorchを利用しているとされる。
PyTorchが登場した当時、AI研究向けハードウェアはNVIDIAのGPUが事実上の標準だった。このため、PyTorchの複数の機能もNVIDIA製チップを前提に最適化されてきた。Metaは2022年、PyTorchをLinux Foundationに移管している。
Amazonも19日、独自の「TorchNeuron」を公開した。PyTorchアプリのコードを作り直すことなく、同社のAIチップ「Trainium」やAWSへ移行できるようにするという。
TechCrunchによると、AmazonはPyTorchプロジェクトにもコードを拠出し、複数の機能をNVIDIA製チップへの依存から切り離す作業を進めている。
Googleは、Metaのほか、Hugging Face、vLLMの開発企業であるInfract、Sglangの開発企業であるRadixArkなどと直接連携したと説明している。TorchTPUが既存のPyTorchと同様、主要なAI開発ツールと円滑に動作するよう調整したという。
あわせて、アプリの移行や不具合修正を支援する「TPU Agent Suite」も提供する。スマートフォンやノートPC、組み込み機器向けにAIを動作させるLiteRTについても、PyTorchアプリとの連携を強化する形で更新した。
もっとも、今回の取り組みだけでAIアプリ開発者が直ちにNVIDIAのハードウェアから大規模に離れるとは考えにくい。ただ、GoogleとAmazonは代替チップやクラウドへの移行障壁を下げることで、NVIDIAの優位性を切り崩そうとしているとTechCrunchは伝えている。