人工知能(AI)の活用で文書作成やコーディングの負担は軽くなる一方、AIが生成した成果物の確認や修正にかえって時間を取られるケースが少なくないことが、Use.AIの調査で分かった。AI導入がそのまま組織全体の生産性向上につながるとは限らない実態が浮かんだ。
TechRadarが19日(現地時間)に報じたところによると、AIサービス企業のUse.AIは、米国、英国、欧州連合(EU)、カナダ、オーストラリア、中南米などで業務向けAIを利用する成人8316人を対象に調査を実施した。
調査では、回答者の62%が、これまで時間や手間がかかって着手しづらかった文書、プレゼンテーション資料、コードなどを、AIによって容易に作成できるようになったと答えた。
一方で、AIの成果物を他の社員と共有する段階では課題も目立った。34%は、AIが作成した、またはAIを使って作成した成果物を最後まで読まずに送った経験があると回答。48%は、修正が必要なAI関連の成果物を他者から受け取ったことがあるとし、43%は不適切な成果物を一から作り直した経験があると答えた。
確認作業の負担も大きい。39%は、AIが生成した成果物の確認に、自分で最初から作業するより長い時間がかかった経験があると回答した。AI導入後、コンテンツの確認や検証に費やす時間が増えたとする回答も41%に達した。
AIの成果物が原因で意思決定が遅れたと答えた人は37%だった。初稿の作成時間は短縮できても、誤りの修正や品質確認の負担が別の担当者に移る可能性を示している。
企業側の運用ルールにも課題がある。58%は、AIを使って作成した成果物を職場で共有する前に、どのような確認が必要かを定めた明確なルールがないと答えた。
Use.AIは、AI活用を評価する際には、生成されるコンテンツ量だけでなく、実務で使える状態にするまでに必要な時間や労力も合わせて見るべきだと指摘した。
もっとも、今回の調査は従業員の経験に基づくアンケートであり、AI導入による全体生産性の純増減や、再作業の増加との因果関係を立証したものではない。
企業がAI活用を広げるなか、成果物の正確性をどう検証するか、また責任の所在をどう明確にするかが、新たな運用課題になっている。