Samsung Electronicsは10月20日、クリップ型の新型ワイヤレスイヤフォン「Galaxy Buds On」を発表した。耳をふさがないオープン型デザインを採用し、音声によるAI呼び出しや音声メモ、頭部ジェスチャーによる操作に対応する。Galaxy AI対応のスマートフォンやタブレットとの連携を前提に、イヤフォンをハンズフリーの操作デバイスとして活用する狙いだ。
同日開いたブリーフィングで、ナム・ヒョンジョン氏(Samsung Electronics MX事業部 ウェアラブル商品企画グループ)は、「日常的にコンテンツを視聴しながら、周囲の音も聞きたいというニーズが高まっている」と説明。「耳をふさがず、快適にオーディオを楽しめる製品として企画した」と述べた。
Galaxy Budsシリーズで初となるクリップ型モデルで、耳の中に入れず、耳の周囲に引っかけて装着する設計とした。長時間の装着を想定する一方、耳の形には個人差があるため、装着感と安定性の両立が課題だったという。ナム氏は「長時間使っても耳への負担が少なく、動きの多い場面でも安定して装着できることが重要だった」と話した。
このため同社は、AIベースのシミュレーションを活用し、耳に触れる部分の接触面積と圧力が均等に分散するよう設計した。バッテリーやスピーカー、ワイヤなど内部部品の配置も見直し、耳の形に合わせて柔軟に変形する形状記憶合金バンドを採用した。加速度センサーが装着した向きを検知し、左右チャンネルを自動で割り当てる仕組みも備える。
Samsung Electronicsは、同製品を長時間装着することを前提としたAI連携デバイスと位置付ける。訴求点として、装着感、音質・通話性能、AI呼び出しを含むハンズフリー機能の3点を挙げた。Galaxy AI対応のスマートフォンやタブレットと接続すれば、イヤフォンから直接AIエージェントを起動できる。
例えば、「ヘイ、グーグル。ライブで会話しよう」と呼びかけると、Gemini Liveが起動する。起動後は質問のたびに呼びかけ語を繰り返す必要がなく、会話を続けられる。Samsung Electronicsは、移動中や作業中でも必要な機能をすぐ呼び出せるため、マルチタスク性が高まるとしている。音楽再生中心だったイヤフォンの用途を、AIとの対話まで広げる狙いだ。
音声メモ機能も搭載した。イヤフォン背面のタッチ領域を長押ししながら話すと、そのまま録音できる「Quick Voice Memo」を利用できる。録音内容はスマートフォンを取り出さずに、Bixbyで検索できる。Gemini Liveは対話、Bixbyは録音内容の検索という役割分担を想定している。
ハンズフリー操作にも対応する。「Head Gestures」は頭の動きを認識し、うなずく動作で通話に応答できるほか、左右に頭を振る動作でアラーム解除やメッセージ通知の確認ができる。通話品質では「Intelligent Clear Call」技術を採用した。
同技術は、3基のマイクと骨伝導ベースの振動センサー、機械学習ソリューションを組み合わせ、ユーザーの声と周囲の雑音を分離する。周囲の騒音に応じて音量を自動調整する機能も備えた。Samsung Electronicsは利用シーンの例として、Galaxy Watchで運動を記録しながら、「次の曲」「音量を上げて」「通話に応答」などの音声コマンドでイヤフォンを操作する使い方を挙げた。
ナム氏は活用例について、「突然アイデアが浮かんだ時にGemini Liveを呼び出し、対話しながら考えを具体化できる。Quick Voice Memoを使えば、アイデアややるべきこともすぐ記録できる」と説明した。
もっとも、こうしたAI機能の利用にはGalaxy AI対応のスマートフォンまたはタブレットとの連携が前提となる。AI音声機能はGalaxy AI対応のスマートフォンまたはタブレットとの接続が必要だ。また、Head Gesturesによるアラーム解除とメッセージ通知確認はOne UI 9.0以上でのみ利用できる。アラーム解除に対応するのは、Samsungの時計、リマインダー、カレンダーの各アプリに限られる。