従業員が反応しやすいフィッシングメールの傾向を分析した(写真=Shutterstock)

企業の従業員を対象にした模擬フィッシング訓練で、AIや先端技術を題材にしたメールが最も高いクリック率を記録した。業務に関係の深い関心事を突く内容ほど、受信者が反応しやすい実態が浮き彫りになった。

ITメディアのTechRadarによると、グローバルセキュリティ企業のKasperskyは19日(現地時間)、自社のフィッシングシミュレーターで収集した匿名データを分析した結果を発表した。調査は2026年1〜9月にかけて、世界120カ国の従業員に送信した15万通超の模擬フィッシングメールを基に実施した。

「次世代AIの紹介」を件名にしたメールでは、受信者の45%がリンクをクリックした。新技術への関心の高さが、反応率の上昇につながった格好だ。

分野別では、医療・保険関連メールの平均クリック率が28%だった。このうち、衛生点検報告書を装ったメールは92%に達した。ITポリシーやコンプライアンス関連は26%、景品やプロモーション関連は24%、人事や社内告知関連は22%だった。

個別事例では、サッカー代表チームのユニフォーム着用で景品がもらえるとうたったメールも、66%のクリック率を記録した。

Kasperskyでセキュリティ啓発を担当するスベトラナ・カラシュニコバ氏は、「従業員は、実際の業務や地域の関心事と密接に結び付いたメールほど反応しやすい」と説明した。生成AIの普及により、攻撃者がこうした個別最適化されたメッセージを作成しやすくなっているという。

また、フィッシングメールの文面は以前より自然になっており、不自然な文法だけを手掛かりに見抜くのは難しくなっているとした。Kasperskyは、送信元アドレスやリンク、添付ファイルを確認するほか、アカウント停止などを理由に即時対応を迫るメールに注意するよう呼びかけている。定期的なセキュリティ教育と模擬訓練を実施することで、フィッシングへの脆弱性を60%から5〜7%水準まで低減できるとも強調した。

ただ、今回の分析対象は実際のサイバー攻撃ではなく、あくまで模擬訓練の結果だ。クリック率がそのまま個人情報の流出やマルウェア感染の発生率を示すものではない。

キーワード

#フィッシング #Kaspersky #AI #セキュリティ啓発
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.