GMとMP MaterialsはテキサスでEVモーター向け永久磁石の生産を始めた。写真=Shutterstock

General Motors(GM)が、電気自動車(EV)向け主要部品の米国内供給網の構築を加速している。EVモーターに使う車載向け永久磁石の生産がテキサス州で始まり、GMは同磁石のモーター適用に向けた試験・検証を進めている。

EV専門メディアのCleanTechnicaが19日(現地時間)に報じたところによると、GMは素材大手のMP Materialsと長期協業し、希土類の採掘・精製から磁石製造、モーター開発までを米国内で完結させる供給網の構築を進めている。

永久磁石は、EVモーターの効率や出力密度を左右する中核部品だ。GMは現在、EVモーターの大半に内部永久磁石型を採用している。固定子が生み出す回転磁界と、回転子内部の磁石との相互作用でトルクを発生させる方式で、高い効率と出力密度を確保しやすく、航続距離や走行性能の向上、搭載スペースの有効活用につながるとしている。

一方で、車載向け磁石には高温や振動、機械的な負荷に耐えながら、安定して性能を維持することが求められる。このため量産は容易ではない。GMはモーター用磁石を一体型から分割型へ切り替え、熱の蓄積やエネルギー損失を抑えることで効率改善を進めてきた。

両社の協力が本格化したのは、GMが2021年にMP Materialsと長期供給契約を結んでからだ。当時のMP Materialsは、北米で唯一稼働していた大規模な希土類採掘・精製拠点であるカリフォルニア州マウンテンパスを運営する一方、磁石事業の垂直統合を進めていた。GMは、テキサス州フォートワースに設けられた「Independence」施設の初期の自動車分野顧客として参画した。

GMによると、初期顧客の参画は需要の早期確保や長期計画の具体化につながるほか、両社の技術チームによる連携を通じて、投資から産業化、量産への移行を後押しする役割も担う。当初は磁石生産の立ち上がりまで数年を見込んでいたが、供給網の重要性に加え、MP Materialsの戦略や技術力を評価し、協業を決めたとしている。

契約から5年を経て、MP Materialsは現在、Independence施設で車載向け永久磁石を生産している。GMはミシガン州ポンティアックの研究施設で、この磁石をEVモーターに適用するための試験・検証を進めている。今回の協業により、カリフォルニア州での希土類の採掘・精製、テキサス州での磁石製造、ミシガン州でのモーター開発・検証がつながる形となる。GMはこれを、製造拠点のある地域で部品を調達する「現地生産・現地調達」戦略の一例と位置付けている。

GMの磁石・モーター開発の歴史は数十年前にさかのぼる。GMの研究チームは1980年代初頭、ネオジム系高性能永久磁石の製造プロセス開発を主導した。その後、Chevrolet Voltではハイブリッド車向け永久磁石モーターの性能向上を図り、後続モデルではトルクの向上と騒音・振動の低減を目的に、二重V字型の磁石配置を導入した。初期のChevrolet Voltは、長距離走行が可能な大衆向けEVに永久磁石モーター技術を適用するうえで一定の役割を果たしたという。

GMは今回の協業について、30年以上にわたって蓄積してきた電動モーター開発の知見と、長年の磁石技術の革新を土台とする取り組みだと強調した。供給網の強化には取引コストだけでなく、有力な供給企業との長期的な協力関係の構築や、不確実性が残る段階でも投資を判断する姿勢が欠かせないとみている。両社の協業は、希土類原料から磁石、モーターまでを結ぶ米国内供給網を、実際の生産体制へと移す事例になっている。

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