Anthropicは、社内で利用するAIエージェントの稼働時間が社員の労働時間を大きく上回り、8月時点で全社平均の6倍に達したとする調査結果を公表した。コーディングや契約処理などの実務をAIが担う一方、社員の役割は自ら手を動かす仕事から、複数のAIを管理・監督する方向へ移りつつある。
Gigazineが19日付で報じたところによると、Anthropicは16日、社内の雇用データやAI利用記録、社員アンケート、インタビューを分析した研究結果を公開した。
それによると、AIエージェントの総稼働時間は3月に初めて社員の労働時間を上回った。8月には、社員が利用する対話型AIエージェントの稼働時間が社員の労働時間の6倍まで拡大し、研究部門では19倍に達した。
AI導入に伴い、業務処理量も増えた。エンジニア1人当たりのコード変更件数は前年12月比で5.1倍に増加。データ分析担当の照会件数と法務担当の契約処理件数はそれぞれ3.1倍、営業担当の契約件数は1.7倍に増えた。
一方でAnthropicは、こうした成果について「会社の急成長が影響した可能性もあり、すべてをAI導入の効果と断定するのは難しい」と説明している。
AIの活用拡大に伴い、新たな課題も見えてきた。Claudeのセッション時間の約8割は、社員の入力待ちに費やされていた。非技術職では、AIが生成した文書をすべて確認するだけで、週の労働時間の半分超を要するとの試算も示された。
こうした状況を受け、AIに作業を指示し、出力結果を確認・修正する「メタワーク」の比重が高まっている。関連する会話の比率は2025年秋の10%から2026年春には22%へ上昇した。社員アンケートでも、回答者の20%が、直接業務を担うよりもAIを管理する役割へ変わったと答えた。
採用構造にも変化が出ている。技術部門における初級職の比率は21%から14%へ低下し、新規の技術職採用に占める初級職の割合も27%から9%に下がった。
ただ、社員の会議時間の中央値は1年前に比べて20%増えた。AIが実務を代替しても、重要な意思決定や部門横断の調整では、人による関与が引き続き欠かせないことを示した形だ。