NVIDIAはドイツでスタートアップ支援に加え、政府や産業界とのAI連携を広げる。写真=Shutterstock

NVIDIAは20日、ドイツのスタートアップ4社を支援すると発表した。欧州で人工知能(AI)投資を拡大する取り組みの一環で、ドイツ連邦政府や産業界との協業もあわせて進める。米CNBCが報じた。

対象となるのは、Agile Robots、Avelios Medical、Mirelo AI、Reflex Aerospaceの4社。NVIDIAはベルリンで開かれた「Invest in Germany Summit」で支援方針を明らかにした。投資額は公表していない。

今回の支援は、NVIDIAが欧州の企業や大学、研究機関に総額約100億ドル(約1兆5000億円)を投じるとする構想の一部に当たる。

支援先はいずれも産業AIの活用先が明確な企業だ。Agile Robotsは製造、物流、ヘルスケア向けのAIロボットを開発し、Avelios Medicalは病院運営ソフトウェアを手掛ける。Mirelo AIは映像向けの音声生成AIモデルを開発し、Reflex Aerospaceは衛星の設計・製造を担う。投資先は製造業、医療、メディア、宇宙産業と、ドイツの産業基盤に近い分野に集中している。

ドイツ政府も、産業分野でのAI導入を後押しする姿勢を鮮明にしている。フリードリヒ・メルツ首相は「ドイツは中核産業へのAI統合で先導役を担うべきだ」と述べた。

適用分野として製造業、機械、自動車産業を挙げたうえで、中小企業にも対応を促した。「データを活用できるよう、AI活用に踏み出してほしい。企業がすでに保有しているあらゆるデータを生かすことが、ドイツの真の強みだ」と語った。

NVIDIAのジェンスン・フアンCEOも、AIはドイツの産業競争力を弱めるのではなく、むしろ高めるとの見方を示した。「ドイツは製造業、数学、科学に強みを持つ。AIは人の能力を置き換えるのではなく、拡張するものだ」と説明し、「企業にとってAIは新たな道具になる」と述べた。

政策面での連携も広がる。NVIDIAはドイツ連邦政府と「Platform Industrie 4.0」との協力を拡大する方針だ。Platform Industrie 4.0は、政府、産業界、研究機関、業界団体の関係者が参加する協議体。ドイツ政府は20日、NVIDIAと産業向けAIモデルの高度化に向けた共同意向書にも署名した。

産業界では、実装事例も出始めている。Siemensは同日、ドイツ・エアランゲンの工場で、NVIDIAと共同開発した新たなAIソリューションを発表した。生産準備工程におけるエンジニアリング作業を最大85%削減できるほか、AIベースの生産計画によってコストを最大20%削減できるとしている。

NVIDIAの欧州戦略はドイツにとどまらない。フアンCEOはこれに先立ちフランスを訪れ、同国のスタートアップ4社への投資計画を公表したほか、エマニュエル・マクロン大統領とAI開発方針を協議した。

フアンCEOは22日にベルリンで基調講演を行う予定。NVIDIAは欧州各国で高まるAIシフトを追い風に、現地での投資と協業の裾野を広げている。

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