ジム・クレイマー氏は19日、足元で進む半導体株やデータセンター関連株の急落について、企業業績の悪化ではなく、1987年のブラックマンデー時にみられたような需給主導の売りが背景にある可能性を指摘した。投資家に対しては、相場全体の値動きに振り回されず、個別企業のファンダメンタルズを見極めるよう促した。CNBCが報じた。
クレイマー氏は、半導体株とデータセンター関連株がそろって売られている現状について、1987年の自動売りとの共通点があると説明した。
1987年10月のブラックマンデーでは、ダウ平均が1日で22.6%急落した。損失回避を目的としたポートフォリオ保険戦略が自動売りを増幅し、下落に拍車をかけたとされる。同氏は、当時はファンダメンタルズの強い企業まで機械的に売られ、結果的には好機だったと振り返った。
足元の相場も同様の様相を帯びている。先週のS&P500は約2%下落し、6月末以降で最大の週間下落率となった。ナスダック総合指数も4.5%下げ、4週連続の上昇が途切れた。半導体株とデータセンター関連株は、時価総額の大小を問わず幅広く売られた。
同氏は、株価と企業価値の乖離を今回の下落局面の主要な論点に挙げた。データセンター関連の一部銘柄では、ファンダメンタルズとかけ離れた値動きが続いているとの見方を示した。上昇局面では一斉高となり、下落局面でも目立った悪材料がないまま同時に売られる場面が出ているという。
売りの背景としては、ヘッジファンドの解消売りの可能性を指摘した。今夏に高レバレッジのファンド「Situational Awareness」が崩壊した際に似た局面になり得るという。ただ、追加の清算が実際に起きているかどうかは確認されていない。損失補填のため保有株の処分が進めば、個別企業の事情とは無関係に株価が連れ安になる可能性があると説明した。
市場は週明けに一部持ち直した。S&P500とナスダック総合指数は、週明けの取引で前週末の下げの一部を戻した。これを受け、同氏はこの日を「グリーンマンデー」と表現した。一方で、短期的な反発そのものよりも、今回の下落がどのような性格のものかを見極めることが重要だと強調した。
投資家の判断基準については、事業実態の悪化で下落している銘柄と、企業固有の要因ではない需給主導の売りで下げている銘柄を切り分けるべきだとした。クレイマー氏は「状況次第で大きな変動が起こり得るが、ファンダメンタルズとは無関係な現象かもしれない」と述べた。
今回の発言は、AI関連株の調整局面で半導体株とデータセンター関連株が同方向に大きく動く現象に焦点を当てたものだ。業績悪化や事業環境の変化が確認されていない段階でも売りが広がり得るとして、同氏は今後の相場を見るうえで、個別企業のファンダメンタルズに加え、レバレッジ資金の解消動向にも目を配る必要があるとの見方を示した。