米主要上場企業が、OKXとインターコンチネンタル取引所(ICE)が進めるトークン化株取引プラットフォーム構想に異議を唱えている。焦点となっているのは、同市場が米証券取引委員会(SEC)登録の取引所ではなく、最良価格の提示や取引情報の開示といった既存市場の基盤を十分に備えないまま運営される可能性がある点だ。
19日付のブロックチェーン専門メディアDecryptionによると、Verizon、Broadcom、UnitedHealth Groupなど米上場9社は、OKX・ICEのトークン化株取引プラットフォームで自社株が取引対象となることに異議を申し立てた。
異議を示した企業はこのほか、Cerebras Systems、AppLovin、Applied Digital、Rocket Lab、CoreWeave、Applied Optoelectronics。OKX・ICEの構想は、暗号資産取引所OKXと、ニューヨーク証券取引所の親会社であるICEが共同で準備しているトークン化株市場だ。
もっとも、通知文では各社が反対する具体的な理由や、この異議申し立てによって実際に取引対象銘柄から除外されるかどうかまでは明らかにされていない。
市場ではNasdaqの対応にも注目が集まっている。Nasdaqは今回の9社には含まれていないが、SECの「イノベーション例外」の適用対象から自社株を除外する考えを示した。
Nasdaqの広報担当者はWall Street Journalに対し、自社株が「リアルタイムで最良価格を提示しない、あるいは取引情報を統合テープに報告しない」市場で取引されることは望まないと説明した。Nasdaqは今年初め、自社のトークン化証券に関するパイロット事業でSECの承認を得ている。
今回の動きは、SECが9月に導入したイノベーション例外の最初の本格的な試金石となりそうだ。この制度は、一定の要件を満たしたプラットフォームであれば、正式な取引所登録がなくてもトークン化された米国株の売買を認める内容となっている。
上院で「Clarity法案」の議論が行き詰まった後、SECが別枠の制度対応を打ち出した格好だ。
OKX・ICEは、Uniswap v4の流動性プールをOKXのX Layerブロックチェーン上に構築し、24時間取引に対応する計画。決済にはUSDCやUSDTなどのステーブルコインを使う。
取引されるトークンは上場企業が直接発行するのではなく、第三者が発行する仕組みだ。発行体は登録ブローカー・ディーラーを通じて実株を1対1で保有し、トークン保有者にも一般株主と同等の配当と議決権を付与する設計とされる。
一方で、投資家保護や市場運営の面では制約も残る。通知文によると、OKX・ICEはSEC登録の取引所ではなく、米株式市場の公正性と透明性を支えるRegulation NMSの適用も受けない。
すべての参加者に公平なアクセスを保証する義務もなく、取引量は各銘柄の通常の売買高のうちごく一部に制限される。また、運営側は事前通知なしにプラットフォームのスマートコントラクトをアップグレードできるという。
こうした構造は、トークン化株が既存の株式市場とは異なる規制や市場ルールの下で取引され得ることを示している。上場企業や市場運営者が、価格形成や取引情報の開示体制に敏感に反応している背景でもある。
国際通貨基金(IMF)は最近、トークン化株について、伝統的な市場の取引時間外でも「実需」が確認されると評価する一方、市場変動が大きく、流動性も乏しいと警告している。
今後の焦点は、企業側の反対が実際に取引可能銘柄の縮小につながるかどうか、またSECのイノベーション例外が既存の市場ルールと衝突せず機能するかどうかに移る。24時間のオンチェーン株取引を掲げるプラットフォームは、始動前から発行体の同意と市場インフラの両面で課題に直面した。