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JPMorgan Chaseは、米国の安全保障と産業サプライチェーンの強化を目的とするスタートアップ向け投資プログラムで、開始から1年で50億ドル(約7500億円)超を投じた。10年で100億ドル(約1兆5000億円)を投資する当初計画に対し、初年度だけで半分を実行した形で、今後は投資枠をさらに積み増す可能性もある。

米CNBCが19日(現地時間)に報じたところによると、JPMorgan Chaseは国防、先端製造、重要サプライチェーン関連の新興企業を対象とする「米国の安全保障・産業強靱化投資プログラム」を通じ、初年度に50億ドル超を投資した。10年間で100億ドルを投じる計画を、大幅に上回るペースで進めている。

ダグ・ペトノ共同社長は、投資総額が当初目標を上回る可能性を示した。対象分野も、防衛、製造業、サプライチェーンにとどまらず、先端技術、医薬、ヘルステックへと広がっている。

大手銀行によるアーリーステージ企業への直接出資は異例だ。JPMorgan Chaseは約10年前、プライベートエクイティ事業のOne Equity Partnersを分社化して以降、スタートアップへの株式投資から事実上距離を置いてきた。今回は、技術や事業性が十分に実証されていない初期企業にも資本を投じ、戦略産業の育成に踏み込んだ。

背景には、米国の産業基盤と防衛サプライチェーンを巡る危機感がある。ウクライナや中東での戦闘、中国との通商摩擦を受け、エネルギーや重要部品の安定調達が主要課題として浮上したためだ。ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は昨年、こうした課題への対応を視野に投資構想を打ち出した。

プログラム全体は、次期CEO候補の一人とされるペトノ氏が統括し、スタートアップ投資の執行はトッド・コムス氏が主導している。ペトノ氏は、初期段階の先端製造企業が海外サプライヤーに依存せず、米国内で必要な生産能力を確立できるような仕組みを模索していると説明した。

公表済みの投資案件からも、防衛・製造能力の底上げを狙う姿勢がうかがえる。JPMorgan Chaseは8月、国防・航空宇宙・海洋分野向け部品を生産する自動化工場企業Hadrianの14億ドル(約2100億円)規模の投資ラウンドで主幹事団に加わった。Hadrianの創業者は、カリフォルニア州の工場で従業員1人につき10台のロボットを稼働させていると述べた。

同月には、比較的低コストの極超音速ミサイル「Blackbeard」を主力製品とするCastelionの10億ドル(約1500億円)規模の投資ラウンドにも参加した。Castelionは2022年末に元SpaceXのエンジニアらが設立した企業だという。

JPMorgan Chaseは、短期的な投資収益よりも有望企業との長期的な関係構築を重視している。コムス氏は、次世代を担う企業を見極め、長期パートナーになることが投資戦略だと説明した。初年度に50億ドル超を投じたことについては、重要サプライチェーンの強化に資する分野で、高い成長余地を持つ企業が台頭していることを示しているとの見方を示した。

スタートアップへの直接投資に加え、従来型の金融支援も拡大している。JPMorgan Chaseは、米国の国益に関わる産業に対し、融資など既存の金融サービスを通じて2300億ドル超(約34兆5000億円)を支援したと公表した。この分野では、10年間で1兆5000億ドル(約225兆円)の支援を目標としており、ジェイ・ホリン氏が担当している。

運営体制も拡充した。JPMorgan Chaseは専任バンカー約36人を配置し、社内の数百人規模が関連業務を支援している。対象地域も米国内にとどまらず、欧州やカナダに広がった。

銀行側は、潜水艦、ミサイル、航空機など主要製品のサプライチェーンを追跡し、需要増に対応する資金や生産能力が不足している供給企業を洗い出している。米国防総省や商務省などの政府機関とも定期的に連携し、政府需要やサプライチェーン上のボトルネックを点検しているという。

JPMorgan Chaseの取り組みは、戦略産業で民間資本の役割が広がっている流れとも重なる。防衛や先端製造で供給網の安定性と生産能力の確保が重視されるなか、大手金融機関が直接投資と融資を組み合わせ、米国の産業基盤強化を後押ししている。

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