Intel株は、JPモルガンが投資判断を引き上げたことを受け、19日午前の時間外取引で4%超上昇した。JPモルガンは、PCおよびデータセンター向け製品の競争力や生産面の改善を評価する一方、サーバーCPUを中心に数四半期はシェア低下が続くとみている。
Decryptによると、JPモルガンはIntelの投資判断を「アンダーウェイト」から「ニュートラル」に引き上げた。Intel株はプレマーケットで4.16%高の93.59ドルを付けた。
今回の判断見直しは、2022年11月以降続けてきた弱気スタンスを修正するものだ。アナリストのハーラン・サー氏は18日付のリポートで、Intel株が6月の高値から約36%下落したことで、従来の目標株価85ドルが示していた下落余地は縮小したと指摘した。目標株価は据え置いたが、市場ではリップブ・タン体制の下で執行力改善の兆しが意識された。
JPモルガンは、今回の反発が一時的な値動きにとどまらない可能性があるともみている。サー氏は、完全なターンアラウンドには「数年を要する」としながらも、経営陣は「順調な滑り出し」を見せており、実行力に対する信頼は高まりつつあると評価した。
見直しの背景には、製品面と生産面の双方での改善がある。JPモルガンは、タン氏のCEO就任後、PC向けとデータセンター向けの両分野で、Intelの製品競争力と実行力が改善したと分析した。
生産面では、先端チップ設計を量産品へ移す工程で前進があったとみる。歩留まりや製造のしやすさが改善し、設計要件とファウンドリープロセスの適合性も高まったと評価した。複数のチップを1つのパッケージに統合する先進パッケージング技術の進展にも言及している。
需要面では、AIが追い風要因になるとみている。JPモルガンは、複数工程を自律的に処理するエージェント型AIの普及に伴い、CPU需要が増える可能性があるとみている。
さらに、先端チップの供給制約が重なれば、業績見通しが上振れする可能性があるとの見方も示した。JPモルガンの2028年の1株当たり利益(EPS)予想は、ウォール街のコンセンサスを約15%上回る水準としている。
一方で、投資判断の引き上げが直ちにシェア回復を意味するわけではないとも明確にした。JPモルガンは、Intelのプロセッサ市場シェアが今後数四半期にわたり低下し続けると予想しており、とりわけサーバーCPU市場の弱さを大きく見込んでいる。
Intelのサーバーx86 CPUの売上ベースのシェアは、2022年11月時点の77%から53%へ低下したと推計した。PC CPUでも、市場シェアは81%から68%へ下がったとしている。
株価の推移も競合に比べて見劣りしていた。Intel株は直近3取引日で約12.6%下落し、17日は89.85ドルで取引を終えた。今回のプレマーケットでの上昇で下落基調に歯止めがかかる可能性はあるものの、JPモルガンはこれまで、Intel株がAMDやBroadcomなど主要な半導体競合に対して大きく出遅れていたとみている。
それでも、年初来騰落率は17日終値時点で約143%の上昇となっている。
課題として残るのがファウンドリー事業だ。JPモルガンは、外部顧客向けのIntelファウンドリー事業について、今後さらに大幅な成長を示す必要があると指摘した。
Intelの2026年上期の外部ファウンドリー売上高は4億6700万ドル。第三者向けチップ生産に加え、組み立て・テストサービスを含み、単純年換算では9億3400万ドル規模になる。
JPモルガンはこれを、TSMCの上期年換算売上高約1500億ドルと比較した。ただし、このTSMCの数値は全社売上高ベースであり、同一事業部門を直接比較したものではないと付け加えた。
Intelは10月29日の取引終了後、2026年7〜9月期(第3四半期)決算を発表する予定だ。市場では、タン体制の下で進む実行力の改善が、収益性やシェア防衛にどこまで結び付いたかを見極める局面になる。
なお、Intelのトークン化株式「INTCB」は、CoinMarketCapベースで24時間に4.54%上昇し、93.48ドルで取引された。これはナスダック上場のIntel普通株とは別の商品で、24時間騰落率の算出区間もプレマーケット取引とは異なる。