米国で、天然ガス火力を中心とする化石燃料発電所の建設計画が急増している。AIデータセンターや工場、EVの普及に伴って電力需要が膨らむなか、電源構成を巡る政策判断が転換点を迎えているとの見方が出ている。
米ITメディアのThe Vergeによると、非営利団体Environmental Defense Fund(EDF)とエネルギー政策研究機関Atlas Public Policyは19日、化石燃料発電設備の開発計画が急拡大しているとする報告書を公表した。
米エネルギー情報局(EIA)のデータを分析したところ、2026年第2四半期時点で、新規発電設備の開発計画全体に占める化石燃料の比率は約30%だった。これに対し、2024年に実際に新設された発電設備に占める化石燃料の比率は5%にとどまっていた。
2026〜2030年に建設が計画されている化石燃料発電設備は約68ギガワット(GW)で、6カ月前に比べ45%増えた。大半は天然ガス火力だ。計画が予定通り進めば、2030年に新たに稼働する発電設備の約70%を化石燃料が占める可能性があるという。
背景には、電力需要の急増に加え、ドナルド・トランプ政権の化石燃料重視政策がある。政権は風力・太陽光発電の開発認可を制限し、税制支援を縮小する一方で、天然ガスや石炭火力を後押ししている。
もっとも、経済性では再生可能エネルギーがなお優位とされる。報告書によると、新設の太陽光・風力発電の平均均等化発電原価(LCOE)は1メガワット時(MWh)当たり68〜69ドルで、新設の天然ガス複合火力発電所の90ドルを下回った。2025年時点の計画中止率も、再生可能エネルギーが4.9%、化石燃料が2.9%だった。
一方で、計画された発電所がすべて建設されるとは限らない。ガスタービンの供給不足に加え、データセンターの電力需要見通しには不確実性も残るためだ。
研究チームは、化石燃料中心の発電設備拡充は、長期的に電気料金の負担増と温室効果ガス排出の増加につながる恐れがあると警告している。