放送通信発展基金(放通基金)の見直しが長年結論を見ないなか、OTTやプラットフォームまで負担対象を広げる「視聴覚メディア発展基金」への再編案が浮上した。既存の放送事業者に負担が偏る現行制度を改め、視聴覚メディア産業全体を支える財源として再設計すべきだという提案だ。
キム・ジョンユン氏(ソウル大学言論情報学科教授)はこのほど、韓国言論学会の秋季定期学術大会で、放通基金を視聴覚メディア産業全般の発展を支援する「視聴覚メディア発展基金」に全面改編する案を示した。
提案では、既存の放送事業者に加え、一定規模以上の複数放送チャンネル提供事業者(MPP)、オンライン動画サービス(OTT)、プラットフォームなどにも負担対象を拡大する。確保した財源は、地域・中小メディアの支援やコンテンツの多様性強化などに充てるとしている。
短期的な課題としては、事業者ごとに異なる現行の徴収基準を放送関連売上ベースに統一し、負担能力と公共性を踏まえた累進制や減免制度を導入する方向性を提示した。長期的には、視聴覚メディアサービスの法体系整備とあわせ、基金の性格や賦課対象そのものを再定義する必要があると指摘した。
キム氏は「既存の放送事業者だけに基金負担を課し、新たに視聴覚メディア市場に参入した事業者を除外する仕組みは持続可能ではない」と強調した。一方で、「単に基金財源の不足を理由に賦課対象を広げても、正当性の確保は難しい」とも述べた。
放通基金の改編を巡っては、基金間で支援事業が重複していることや、財源配分の妥当性、事業者ごとの負担の公平性などを背景に、長年議論が続いてきた。情報通信振興基金との統合を求める声も強まっている。
両基金は情報通信技術(ICT)分野で支援対象や事業領域が重なるうえ、周波数割当対価を共通財源として活用している。このため、従来から統合の必要性が指摘されてきた。政府の基金評価団は2020年、2023年に続き、今年も両基金の統合を勧告した。
企画財政部が5月に国務会議へ報告した「2026年基金評価結果」でも、ICT融合やAI産業の拡大に伴い、政策対象と支援領域の重複が広がっていることが、統合勧告の根拠として示された。
もっとも、全面統合には時間がかかるとして、まず重複事業の整理を優先すべきだとの意見もある。具体的には、ICT産業振興事業は情報通信振興基金に、放送関連の公益・振興事業は放通基金にそれぞれ再配置する案だ。
有料放送業界からは、放通基金にICT関連財源を統合し、財源構造そのものを見直すべきだとの主張も出ている。
こうしたなか、放送通信委員会は5月、韓国放送通信電波振興院(KCA)を通じ、放通基金の事業群別の徴収基準や徴収率の再設計、減免制度の改善、収入源の多角化などを検討する研究委託を発注した。具体的な改編の方向性は、この研究結果を踏まえて検討する方針だ。
放送通信委員会の関係者は「研究結果は当初11月末に出る予定だったが、研究班による最終討論と取りまとめを経て、12月末ごろになる見通しだ」と説明した。そのうえで「研究内容を基に必要な事項は反映し、現実的に難しい部分は中長期課題として検討する」と述べた。
「視聴覚メディア発展基金」への転換については、「OTTなどに新たに分担金を課すには総合的に検討すべき事項が多く、複数の選択肢の一つになり得る」との認識を示した。一方、情報通信振興基金との統合については、今回の研究委託とは別件だと説明した。