NAVERとKakaoの2026年7〜9月期業績は、方向感の違いが鮮明になりそうだ。NAVERは2桁の増収を確保する一方、AIインフラやコマース関連の先行投資が重荷となり、営業減益の見通し。これに対しKakaoは減収が見込まれるものの、費用の安定を背景に営業利益は2桁増となる見込みだ。
FnGuideが10月20日にまとめた市場コンセンサスによると、NAVERの連結売上高は3兆5146億ウォンと前年同期比12%増、営業利益は5000億ウォンと同12.4%減の見通し。Kakaoは売上高が2兆493億ウォンで同1.8%減となる一方、営業利益は2522億ウォンで同21.2%増が見込まれている。
◆NAVER、増収維持も先行投資が利益圧迫
NAVERは、広告、コマース、決済など主力事業の成長が続く一方で、成長率の鈍化と費用増が同時に表面化する見通しだ。
7〜9月期は秋夕連休の影響で広告とコマースの営業日数が減少。加えて、前年のコマース手数料引き上げに伴うベース効果も薄れ始めている。広告はコマース広告が伸びているものの、連休の影響で増勢はやや鈍化。コマースも売上成長率の低下が見込まれる。
費用面では、ショッピング向け販促施策や「NAVER Pay Connect」の端末普及に伴うマーケティング費用が増加する見込みだ。これにワールドカップとアジア大会の中継権料、GPU投資に伴う減価償却費の増加が重なる。
Kyobo Securitiesのアナリスト、キム・ドンウ氏は、NAVERの7〜9月期営業費用を約3兆ウォンと試算。ショッピング関連のマーケティングやNAVER Pay Connectの普及拡大、スポーツ中継費用が収益性の重荷になると分析した。
もっとも、市場ではこうした費用増を将来の事業拡大に向けた投資とみる向きが強い。NAVERはNAVER Pay Connectを通じてオフライン決済データを確保し、マーケティングや顧客関係管理(CRM)事業のオフライン展開を進めている。AI分野では、NVIDIA、BrookfieldとAIファクトリー事業を推進している。
Eugene Investment & Securitiesのアナリスト、チョン・ウィフン氏は「費用増のかなりの部分はオフラインデータとAIインフラの確保に向けた投資という性格が強い」と指摘。取引額や決済額などの主要指標は堅調に推移しているとの見方を示した。
◆Kakao、減収見通しでも営業増益
Kakaoは主力事業の成長鈍化が見込まれる一方、費用負担は比較的落ち着いており、営業利益は改善する見通しだ。
Talk Bizでは、フィード型ディスプレー広告(DA)の取り扱い拡大が続くものの、広告市場の閑散期の影響で成長ペースは鈍化するとみられる。ビジネスメッセージも、前年同期の高いハードルと休日要因が重しになる見込みだ。
DB Securitiesのアナリスト、シン・ウンジョン氏は、上半期に安定成長を示したプラットフォーム売上高について、7〜9月期は伸びがやや鈍ると予想。Kakao Payは取引額の減少、Kakao Mobilityは休暇シーズンのタクシー利用減の影響を受けるほか、コンテンツ部門ではSMとPiccomaが上半期を下回ると見込んだ。
一方、費用面での大きな負担は限定的とみられている。Kakaoは2026年1〜3月期からゲーム事業を非継続事業に分類するなど、事業構造の見直しを進めてきた。その流れの中で、7〜9月期には大規模な費用計上がなかったことが、収益性改善につながるとの見方が出ている。
Hanwha Investment & Securitiesのアナリスト、キム・ソヘ氏は「その他費用に特段の要因はなく、マーケティング費用も大きな執行はなかったとみている」と述べた。
◆決算後の焦点はAIの収益化
両社の足元の業績トレンドは異なるが、今後の最大の焦点はAI事業の成果をどこまで具体化できるかにある。
NAVERでは、AIインフラ投資を実際の顧客契約と売上につなげられるかが焦点となる。市場では、AIファクトリーの顧客企業や契約条件が開示されて初めて、今後の売上や収益性を具体的に見極められるとの見方が出ている。
NH Investment & Securitiesのアナリスト、アン・ジェミン氏は、10月30日に予定されるNVIDIAの10億ドル規模の有償増資払い込みが、Brookfieldによる90億ドル規模の投資に向けた特別目的会社(SPV)設立の前提条件と連動していると説明。AIインフラ構築の第一関門を越える可能性が高いとしたうえで、その後は中核顧客との具体的な供給契約の開示が重要になるとみている。
Kakaoは10月13〜14日に開催した「if(kakao)26」で、KakaoTalkの全画面から呼び出せるAIアシスタント「Kanana Space」と、PCベースの個人向けAIエージェント「Canvas」を公開した。
Kanana Spaceは、スケジュール管理や検索、会話要約に加え、注文、決済、送金、予約まで機能を広げる計画だ。選定利用者向けに12月から順次提供し、2027年3月の一般公開を目指す。
Kakaoは、KakaoTalk上の会話の過程で外部プラットフォームに流れていた需要を、AIエージェントを通じて商品探索や取引につなげ、広告・コマースの新たな収益機会へ広げる構想を示している。
LS Securitiesのアナリスト、ソン・ユジン氏は、KakaoのB2C向けAI戦略について、国内最大級のユーザー接点を活用できる点を前向きに評価。その一方で、実際のサービス公開に加え、精度や有用性の検証を経て、財務面での寄与まで確認する必要があると指摘した。
Kakaoは12月17日、人的分割の承認を議案とする臨時株主総会も控える。7〜9月期決算の前後では、NAVERはAIファクトリーの顧客契約、KakaoはAIサービスの公開と人的分割の進展が、それぞれ次の成長戦略を見極めるうえでの重要な材料となりそうだ。