家庭向けインターネット回線で、ダウンロードは速いのにアップロードは遅い――。こうした差が生じやすい背景には、利用者の通信パターンに合わせた帯域設計と、通信網そのものの構造がある。
米ITメディアのEngadgetが18日(米国時間)に報じた。記事によると、インターネットサービスプロバイダー(ISP)は一般に、上りより下りに多くの帯域を割り当てている。利用者の多くが、データを送信するよりも受信する用途で回線を使うためだ。
実際、米通信事業者Xfinityの一部地域向けプランでは、下り速度が300Mbps、500Mbps、1Gbpsと分かれる一方、上りは117Mbpsで横並びとなっている。下り速度が2Gbpsのプランでようやく、上りは約293Mbpsまで引き上げられるという。
こうした差は、日常的なインターネット利用の実態を反映したものだ。動画配信の視聴、ゲームのインストール、ソフトウェア更新などは下り通信が中心となる。一方、通常のWeb閲覧やコメント投稿では、上り通信量は比較的少ない。
回線インフラの構造も影響する。ケーブルインターネットは、もともとケーブルテレビ向けに整備された同軸ケーブル網を活用しており、限られた周波数帯を上りと下りで分け合う。このため、需要の大きい下り向けに多くの帯域を割く設計が主流になってきた。
次世代のケーブル通信規格であるDOCSIS 4.0では、上り容量の大幅な拡張が可能になり、上下対称の高速サービスにも対応しやすくなる。ただし、実際の導入には通信事業者側で機器更新やネットワーク改修が必要となる。
光回線は比較的広い帯域を確保しやすく、上りと下りが同速の対称型サービスを提供する例も多い。ただ、光回線であっても、ネットワーク構成や利用者の集中状況によっては通信速度が低下する場合がある。
コンテンツ配信の仕組みも、下り優位を後押ししている。NetflixやGoogleは、利用者に近い場所にサーバを置くコンテンツ配信ネットワーク(CDN)を活用し、ダウンロード効率を高めている。一方、個人がアップロードする写真や動画は固有データが多く、同じ手法をそのまま適用しにくい。
アップロード速度を重視するなら、下りの最大速度だけでなく、実際の上り速度や回線種別まで含めて確認したい。