折りたたみスマホ市場が転機を迎えている。Samsung ElectronicsやHuawei、Oppo、Honor、Googleが7年超にわたり、折り目や耐久性、厚さ、価格といった課題の改善を進めてきた中、Appleも参入した。本格普及につながるかが焦点となっている。
米ITメディアのEngadgetは18日(現地時間)、RoyoleのFlexPaiからSamsung ElectronicsやHuaweiなど主要メーカーの製品、さらにAppleの折りたたみスマホに至るまでの市場の進化を紹介し、初期モデルが抱えていた弱点はかなり解消されたと伝えた。
折りたたみスマホが本格的に注目を集めたのは2019年前後だ。ただ、初期製品の完成度には課題が多かった。初の商用折りたたみスマホとして注目されたFlexPaiは、フレキシブル有機EL(OLED)を実製品に採用した点で意義があった一方、当時のレビューでは、無骨なデザインや不自然なサイズ感、全体的な完成度の低さが指摘された。
同年に投入されたSamsung ElectronicsのGalaxy Foldも、技術的な可能性を示した一方で、耐久性への不安を残した。約2000ドルという高価格にもかかわらず画面が傷みやすいとの懸念が出たほか、一部ユーザーが画面保護層を保護フィルムと誤認して剥がし、混乱が広がった。Samsung Electronicsは発売を延期してレビュー用端末を回収し、設計を補強したが、改良後も初期モデルの信頼性には不安が残った。
HuaweiはMate Xで別のアプローチを示した。外側に折る構造を採用し、1枚のディスプレイが本体外側を覆う設計とした。デザイン面では高く評価されたものの、画面が擦り傷や衝撃に弱いという弱点があった。米国の対中技術規制も市場拡大の重荷となった。Huaweiが後継機のMate X2で内折り式へ切り替えたことは、外観上の差別化だけでは耐久性の課題を解決しにくいことを示した。
2020年以降は、実用性を高める改良が本格化した。Samsung ElectronicsはGalaxy Z Flipに超薄型ガラスを採用し、内側ディスプレイの剛性を高めた。2021年にはGalaxy Z Fold3とZ Flip3でIPX8等級の防水性能を導入し、その後は防塵性能の改善も進めた。Galaxy Z Fold6はIP48等級に対応し、Googleも2025年にPixel 10 Pro FoldへIP68等級を適用して防水・防塵性能を強化した。
画面の折り目を目立たなくする競争も続いた。Oppoは2021年のFind Nで折り目が見えにくい設計を打ち出し、HonorはMagic Vシリーズで薄型化を進めた。Samsung ElectronicsもGalaxy Z Fold7でさらなる薄型化に取り組んだ。ディスプレイやヒンジ構造、耐久性、厚さが並行して改善されたことで、折りたたみスマホは実験的な製品から日常使いできる端末へと進化した。
価格面でも変化は出ている。Motorola Razrや999ドルのGalaxy Z Flip3といったクラムシェル型の登場により、折りたたみスマホは一部の超高価格帯モデルに限られず、一般的なハイエンドスマホに近い価格帯まで下がってきた。ただ、製品ごとの価格差は依然大きく、通常のスマホより高価である点は普及に向けた課題として残る。
こうした技術進化を背景に、Appleも折りたたみスマホ市場に参入した。iPhone Duoは、折りたたむとパスポート大のサイズで、7.6インチの内側ディスプレイと5.4インチの外側ディスプレイを備える。開始価格は1999ドルで、プレミアム市場を狙う。レビューでは、Apple製品として「過去10年で最も興味深い端末」との評価も出ている。
調査会社CounterpointはBloombergに対し、2026年のiPhone Duoの販売台数が600万台に達すると予測した。実際の販売が見通し通りに推移すれば、Apple参入は折りたたみスマホ需要の拡大を後押しする可能性がある。一方で、高価格や従来のスマホとは異なる使用体験が、どこまで購入意欲を引き出せるかはなお見極めが必要だ。
Appleはこれまでも、新技術が初期の試行錯誤を経て一定の完成度に達した段階で市場に参入する戦略をたびたび示してきた。折りたたみスマホも、Samsung ElectronicsやHuawei、Oppo、Honor、Googleが折り目や耐久性、厚さ、価格といった課題の改善を積み重ねてきた分野だ。Appleの参入は、蓄積された技術進歩を背景に市場の裾野を広げる可能性がある。
折りたたみスマホの進化は、特定企業1社の成果というより、各社が長期にわたり失敗と改良を積み重ねてきた結果といえる。Apple参入が実際の普及につながるかはなお不透明だが、折りたたみスマホが初期の技術実験の段階を抜け、主流スマホ市場で競争する製品群として浮上しつつあるのは確かだ。