Mercedes-AMGは17日、ブランドとして初めて独自開発した高性能EV SUV「GT SUV」を披露した。2028年型として投入するモデルで、最上位仕様は最大1153馬力を発揮する。急速充電性能やバッテリー熱管理、AIを活用した走行制御を武器に、高性能電動SUV市場での差別化を図る。
The Vergeによると、米国市場での発売は2027年夏を予定する。
新型GT SUVは、AMG専用の高性能EVプラットフォーム「AMG.EA」を採用した。スポーツカー並みの走行性能と、大型SUVとしての実用性の両立を狙ったという。
グレードは「GT 53」「GT 55」「GT 63」の3種類を用意する。最上位のGT 63は3基のアキシャルフラックスモーターを搭載し、最大1153馬力を発揮する。3基構成は、先に発表した「AMG GT 4ドアクーペ」と共通だ。
車体制御では、大型SUVの挙動を抑えるためのシャシー技術も盛り込んだ。機械式ロール制御に代えて油圧式アクティブサスペンションを採用し、加速時や急制動時、コーナリング時の前後ピッチや左右ロールを抑える設計とした。3段階のエアスプリングに加え、後輪操舵システムも標準装備し、操舵角は最大6度とする。
充電性能も大きな訴求点だ。128kWhバッテリーを搭載するGT 63とGT 55は最大710kW、106kWhバッテリーを積むGT 53は最大600kWの急速充電に対応する。
Mercedes-AMGによれば、バッテリー残量10%から80%までの充電時間は約12分。10分の充電で、WLTP基準で最大450kmの航続距離を確保できるとしている。128kWh仕様の最大航続距離は435マイル(約700km)。ただし、実際の充電時間や航続距離は、充電器の性能や外気温、走行条件によって変動する。
バッテリーには、F1技術に着想を得た設計を取り入れた。正極材にはニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム(NCMA)系材料、負極材にはシリコン含有材料を採用し、セルは円筒形とした。さらに、絶縁性オイルを各セル周辺に直接循環させることで、温度を均一に管理する仕組みを採る。
同社は、高出力時でもバッテリー温度を安定して保ち、長時間走行時の性能低下を抑えられると説明する。一時的な加速力だけでなく、高負荷走行を繰り返した際の出力維持を重視したという。
サーキット走行を意識したAIベースの機能も搭載する。予測型パフォーマンス管理システムは、トラックのマップデータを活用し、区間ごとにモーター出力を制御する。下り坂やテクニカル区間では電力消費を抑え、上り坂や長いストレートでは最大出力を活用する設計だ。
こうした制御の狙いは、バッテリーの過熱や出力制限を抑え、周回走行を重ねても安定したラップタイムを維持することにある。車両重量はGT 63で5941ポンド(約2695kg)。Mercedes-AMGは、大型SUVでありながら、競合する一部の電動SUVより軽量だとアピールしている。
車内には14インチディスプレイを搭載し、車載OSには「MB.OS」を採用した。音声インタフェースにはChatGPTのほか、MicrosoftとGoogleのAI機能を統合し、ナビ設定やウェブ検索、地点検索などに対応する。オンボードAIは空調の調整、走行モードの変更、車内照明の設定といった車両機能の制御も担う。
演出面では、EVでもAMGらしさを打ち出す。AMGのV8および直列6気筒エンジンのサウンドを録音して車両音に反映し、パドル操作によって機械式変速機に近い感覚を再現する。シートの振動機能もサウンドと連動する。走行プログラム「AMGFORCE Sport+」は全グレードで標準装備とした。
GT SUVは、高性能電動セダンに続くAMGの電動化戦略の中核モデルとなる。超高出力モーター、超高速充電、バッテリー熱管理、AIによる走行制御を組み合わせ、高性能電動SUV市場で存在感を高める構えだ。