会話を取り込み要約するAIウェアラブルの普及が進み、米国でプライバシー侵害や違法な傍受を巡る論争が再燃している。音声ファイルを保存しない場合でも、会話内容を分析する行為そのものが一部の州法に抵触する可能性があるためだ。
18日付のCNBCによると、AppleやAmazon、Metaなどの主要テック企業は、周囲の会話を認識して分析するAI機能を相次いで打ち出している。
Amazonは最近、AIウェアラブル「Bee Frontier」と、スマートフォン装着型デバイス「Bee Eclipse」を公開した。会話を文字起こしして要約し、スケジュール管理や通知などに活用するという。
Appleも9月に公開したApple Watch Series 12で、会話を要約する「Siri Recap」と、直前15秒の会話内容をテキスト表示する「Live Rewind」機能を導入する予定だ。
問題は、周囲の同意がないままプライベートな会話が収集対象になり得る点にある。従来の音声アシスタントと異なり、新たなAI機器は音声を保存せずに会話を解釈し、要点を抽出できる。
Appleは、音声データを保存したり外部サーバーに送信したりすることはないと説明している。Amazonも、生の音声は保管せず、安全な環境で処理するとしている。
ただ、法律専門家は、保存の有無だけで適法性を判断するのは難しいと指摘する。個人情報分野の弁護士コリン・ジック氏は「会話を継続的に取り込み、要約文に変換する行為も、州法上の傍受に当たる可能性がある」と説明した。
ニューハンプシャー大学ロースクールのダニエル・パイ教授も、「会話当事者全員の同意がないままこうした機能を使えば、民事・刑事の責任が生じる可能性がある」と警告した。一方で、実際に起訴に至る可能性は低いとの見方も示した。
責任の所在も論点になっている。メーカーではなく、機器の装着者が責任を問われる可能性があるためだ。機器を使っていない周囲の人まで、本人の意思に関係なく会話分析の対象になり得る。
AIウェアラブルの利便性が高まる一方で、個人情報保護や会話当事者の同意のあり方を巡る法的議論は今後さらに本格化しそうだ。