メモリ価格の急騰で2026年の世界のスマートフォン価格が約20%上昇する中、メーカー各社のバッテリー交換費が依然として高水準にあるとして、長期利用を後押しする修理施策の必要性を指摘する声が出ている。
米ITメディアのEngadgetは16日(現地時間)、消費者の間で新機種への買い替えを先送りし、中古端末やリファービッシュ端末に目を向ける動きが強まる一方、バッテリー交換費用はなお高い水準にあると報じた。
実際、交換費の負担は小さくない。Appleは最新のProモデルについて、保証対象外のバッテリー交換を129ドルで提供している。2020年発売のiPhone 12でも89ドルが必要だ。
iPhone Duoのバッテリー交換費は229ドルに設定されている。Samsungは保証対象外の交換価格を公式サイトで明示していないが、オンライン上ではおおむね99〜129ドルとの見方が広がっている。
両社とも、バッテリー交換をカバーする延長保証サービスへの加入を促している。ただ、こうしたサービスは端末購入時点での加入を求めるケースが多い。ユーザーが自ら修理する選択肢もあるが、近年のスマートフォンは構造が複雑で、自力での交換は容易ではない。
バッテリー交換費が常に現在の水準だったわけではない。Appleは2018年、iPhoneの性能低下を巡る問題を受け、米国で1年間、保証対象外のバッテリー交換価格を29ドルまで引き下げた。通常価格より50ドル安い水準だった。
その結果、Appleの年間バッテリー交換件数は従来の100万〜200万件から、2018年には1100万件へ急増したとされる。
その後Appleは、低価格のバッテリー交換が新機種への買い替え需要に一定の影響を与えたことを認めた。当時、ティム・クックCEOは「一部の顧客は、大幅に引き下げられたiPhoneのバッテリー交換価格を活用している」と述べている。
もっともAppleは、当時の業績低迷の主因について、米中貿易摩擦に伴う中国景気の減速を挙げていた。
足元では、新機種の値上がりが一段と目立っている。AppleはiPhone 18 ProとiPhone Duoを発表した日に、旧モデルのiPhone 17を含む既存モデルの価格も100ドル引き上げた。
Samsungも今月初め、S26シリーズの大半を100ドル値上げした。もともと2025年モデルを上回る価格帯で投入していたが、さらに追加の値上げに踏み切った形だ。
中価格帯も例外ではない。SamsungのS26 FEは700ドルで、S25 FEやS24 FEを上回る発売価格となった。一方で、製品面での改善幅は大きくないとの指摘も出ている。
消費環境も厳しさを増している。米国の消費者物価は2018年1月以降で約34%上昇し、同じ1ドルで購入できる量は以前より約4分の1減った計算になる。名目賃金は上昇したものの、実感としての購買力は弱まった。
Pew Research Centerの分析によると、物価変動を反映した米国の中位週次賃金は、2020年12月から2025年12月までに約3.2%減少した。実質の時間当たり賃金も2020年12月比で約1%低く、2025年8月は前年同月比で0.3%減だった。
こうした中、Engadgetはメモリコストについて「急激に膨らんだ」と表現した。一方、スマートフォン部品の中では、リチウムイオン電池セルはコスト低下が大きい領域に挙げられている。
つまり、メーカー各社がメモリや人件費、供給不足を理由に端末価格を引き上げる一方で、バッテリーについては相対的に価格を下げる余地があることを示唆している。
特にAppleがiPhone 17の価格を従来の799ドルから100ドル引き上げたことは、12.5%の値上げに当たる。同時期の他の消費財の価格上昇率がおよそ3.4%だったことを踏まえると、上げ幅は大きい。
このため、メーカーが収益性の維持を優先し、消費者の長期利用を支える修理施策は後回しになっているとの批判も出ている。
今後の焦点はメモリ需給だ。SK hynixなどメモリ各社の見通し通り、供給が需要に追いつく時期が2030年までずれ込めば、スマートフォンメーカーの値上げ基調が長期化する可能性がある。
その場合、バッテリー交換費の引き下げは、新製品の購入負担が重くなる消費者にとって、最も直接的な対応策の1つになりそうだ。