太陽光発電や電気自動車(EV)などの普及を背景に、エネルギー安全保障の考え方が変わり始めている。従来のように石油や天然ガスの安定輸入を重視するだけでなく、発電設備の確保や送電網の強靱化、サプライチェーンの多角化が重要性を増している。
CleanTechnicaが18日(現地時間)に報じたところによると、エネルギー戦略の専門家マイケル・バーナード氏は、「電化が国家間のエネルギー依存の構造を根本から変えている」と指摘した。
化石燃料中心の体制では、石油やガスを消費するたびに海外から継続的に調達する必要がある。一方、太陽光パネルやバッテリー、EVは一度導入すれば長期間にわたって活用できる。自国の太陽光、風力、水力などを使えば、燃料を繰り返し輸入する負担も抑えられるという。
その例として挙げられたのがパキスタンだ。パキスタン中央銀行は、2025年末時点の太陽光導入容量を約50GWと推計した。太陽光発電の拡大により、過去6年間のエネルギー輸入費を約71億ドル削減したほか、今年も追加で52億~78億ドル圧縮できる可能性があると分析している。
EVの普及も石油依存の低下を後押ししている。国際エネルギー機関(IEA)によると、2025年の世界のEVは石油需要を日量約170万バレル分押し下げた。このうち中国が約100万バレルを占めた。
欧州では、国境を越えた送電網の広域連系がエネルギー安全保障を高める手段として機能している。ウクライナとモルドバは、2022年のロシア侵攻直後に欧州大陸の送電網と接続し、域外から電力融通を受けられる体制を整えた。
アフリカでもクリーンエネルギー関連設備の導入が広がっている。2022〜2024年の太陽光モジュール、バッテリー、EVの輸入額は120億ドルを超えた。
もっとも、太陽光モジュールの9割超を中国製が占めている点は、新たなサプライチェーンリスクとして浮上している。
バーナード氏は「完全なエネルギー自給自足を目指すよりも、調達先の多角化や国内生産能力の確保、送電網のレジリエンス強化が重要だ」と強調した。電化時代には、燃料を継続的に買い付ける力よりも、エネルギーを安定的に生産・供給できる仕組みが各国の競争力を左右するとの見方を示した。